プロが使うフルトラッキングVR機器を紹介
こんなことが知りたい
プロが使っているフルトラッキングのVR機器を知りたい!
ここでは、 企業や制作会社が使っているVRのフルトラッキング機器を知りたい方に向けて 「プロ向けのフルトラッキングVR機器」を紹介 しています。
プロが使っているフルトラッキングのVR機器は、 「モーションキャプチャー」と「HMD」そして、 「3Dビューワ」になります。
それぞれ、どのような機材やソフトがあるのかを 説明していきます。
ちなみに、個人向けのフルトラッキングVRシステムについても 別のページで紹介しています。
興味のある方は、 そちらも合わせてご覧ください。
この記事を書いた人
さくら
- 3DCADサポートエンジニア
- サポート歴7年
- Autodeskとダッソー製品のカスタマーサポートに従事
- 2022年からVR部署の管理職
- 法人向けVRを扱う
詳しい紹介はこちら 「自己紹介」
目次
フルトラッキングのシステム構成
プロが使うフルトラッキングのVRシステムは、 次の3つから構成されていることが多いです。
- HMD(ヘッドマウントディスプレイ)
- モーションキャプチャー
- 3Dビューワ
VR表示されるまでの流れとしては、 「モーションキャプチャー」→「3Dビューワ」→「HMD」になります。
まず全身の動きをモーションキャプチャーで取ります。 続いて、モーションキャプチャーデータを3DビューワでVR空間に統合します。 統合したデータをHMDに表示する流れです。
モーションキャプチャーについてですが、 頭から手足、足先まで取っていきます。 必要であれば指の動きや顔の表情も 色々なモーションキャプチャー機器を組み合わせて同時に取っていきます。
ちなみに、HMDのシステムで取れるヘッドモーションや コントローラーの手の動きは使わないことが多いです。 頭の動き、手の動きもすべてモーションキャプチャーで取ります。
これらモーションキャプチャーの動きデータを 3Dビューワに統合していきます。 3Dビューワは具体的に 「Unity」「Unreal」「Maya」「MotionBuilder」「Blender」といった 3DCGソフトが多いです。
Maya、MotionBuilderといった既製品でデータ統合できることもありますが、 多くの場合は機能が足りないため、 独自にプログラミングをして開発をします。
その場合、UnityやUnrealを使って プログラミングをしながら独自の3Dビューワを作成します。
その3Dビューワで表示されているVRコンテンツを HMDに表示します。
よく使われるHMD
HMDは個人向けに販売されている製品を使うことが多いです。 よく使われるHMDは次の3つがあります。
- HTC VIVE Pro2
- Meta Quest Pro
- Varjo XR-3
HTC VIVE Pro2とMeta Quest Proは、 海外でも日本でも人気の製品で、 法人向けVRシステムでもよく使われています。
価格はVIVE Pro2が10万円前後、Quest Proが26万円前後です。 HTC VIVE Pro2もMeta Quest Proも開発ツールのSDKが用意されているので、 UnityやUnrealで独自3Dビューワを作りやすい特長があります。
Varjo XR-3は法人向けのハイエンドHMDです。 日本ではあまり見かけませんが、 海外ではメジャーな法人向けHMDのひとつです。
価格は5500ドル弱です。 HTC VIVE ProやMeta Quest Proと比べると高めの値段です。
しかし、アイトラッキングやハンドトラッキングもできる仕様なのが特長です。 Varjoは開発ツールのSDKでアイトラッキング、 ハンドトラッキングのデータも取れます。
また、数多くの3Dビューワに対応しているのもメリットです。 Unity、Unreal、Autodesk VRED、PREPAR3Dといった 個人向けからハイエンド3Dビューワにも対応しています。
ただ、日本ではあまりユーザー数が多くないので、 WEB上に日本語の技術ノウハウが少ないのがデメリットです。
よく使われるモーションキャプチャー
VRのフルトラッキングでよく使われる モーションキャプチャー機器は次の5つがあります。
- XSense MVN
- Vicon
- Optitrack
- MotionAnalysis
- Qualisys
XSense MVNは、慣性センサ式のモーションキャプチャーです。 かなり精度はよく、 慣性センサ式モーションキャプチャーで 世界一の精度と言っても過言ではありません。
開発用ツールのSDKも用意されています。 Unity、Unrealはもちろん、 Maya、MotionBuilder用のオプションソフトもあります。
Vicon、OptiTrackは光学式のモーションキャプチャーです。 日本ではこの2メーカーが有名で、 制作現場ではViconかOptiTrackを中心にして 制作ワークフローが組まれています。
開発ツールのSDKもあります。 MVN同様にUnity、Unreal、Mayaにデータを流すための オプションソフトも販売されています。
MotionAnalysisとQualisysは、 日本ではあまり有名ではありませんが、 老舗の光学式モーションキャプチャーメーカーです。
海外ではVRシステムの事例は豊富で、 MotionAnalysisはBBCやCNNなどのメジャーテレビ局でも使われています。 QualisysはVR向けエンターテインメント施設で使われています。
MotionAnalysis、Qualisysともに 開発ツールのSDKが用意されています。 他のモーションキャプチャーと同様に Unity、Unreal、Maya、MotionBuilderといった主要3Dビューワに対応した オプションソフトも扱っています。
よく使われる3Dビューワ
フルトラッキングのVRで使われる3Dビューワは、 次の3つがあります。
- Unity
- Unreal
- Maya
VRで最も使われている3Dビューワと言っても過言ではないのが、 拡張性の高いUnityです。
フルトラッキングしたデータを リアルタイムに3D表示をするのに長けています。 また、HMD、モーションキャプチャーとの連携がよく、 開発をしやすい環境になっているのが大きなメリットです。 ユーザー数も多いため、 開発ノウハウもWEB上に豊富にあります。
伝説のVTuber、Kizuna AI(キズナアイ)のコンテンツでも Unityが使われているものもあります。
続いてUnrealです。 UnrealはVR空間上でのリアリティ表示が得意な3Dビューワです。 Unity同様に拡張性も高く、多くのユーザーがいます。
実映像と間違えるくらいリアリティのある3DCGを 高速に表示できるのがメリットです。
最後に3DCG業界で最も使われている3DCGソフトのMayaです。
Mayaは通常、モデリングやアニメーション作成で使うための3DCGソフトです。 しかし、モーションキャプチャーメーカーが Mayaを3Dビューワとして使うオプションソフトを出しているので、 VRでもよく使われています。
フルトラッキングのVRで使われる3DCGは Mayaで作ることが多いです。 そのため、使い慣れているMayaを3Dビューワとして使うことで、 素早くVRコンテンツ作成ができるメリットがあります。
VRにおすすめのパソコン
当サイトでは VR向けにおすすめのパソコンも紹介しています。
パソコンメーカー別に ローエンドからハイエンドまでのノートパソコンと デスクトップパソコンを提案しています。
VR用のパソコンをお探しの方は、 そちらもあわせて参考にしていただければ嬉しいです。
まとめ
「プロが使う!フルトラッキングできるVRシステム」 についてのまとめです。
プロの現場で使われるフルトラッキングのVRシステムは、 3つのシステムで構成されている。 「ヘッドマウントディスプレイ」 「モーションキャプチャー」 「3Dビューワソフト」
フルトラッキングのVRでよく使われるHMDは3つある。 「HTC VIVE Pro2」「Meta Quest Pro」 「Varjo XR-3」
フルトラッキングのVRで よく使われるモーションキャプチャーシステムは5つある。 「XSense MVN Animate」 「Vicon」 「OptiTrack」 「MotionAnalysis」 「Qualisys」
フルトラッキングのVRで よく使われる3Dビュワーソフトは3つある。 「Unity」「Unreal」 「Maya」