3DのVR空間でモデリングやデザインをする方法
こんなことが知りたい
「Mayaを使ってVR空間で3Dモデリングをする方法って?」
「どんな機材があればいい?」
ここでは、VRに興味がある方向けに 「Mayaを使ったVR空間での3Dモデリングの方法の概要」 について解説していきます。
じっさいの操作方法ではなく 「どんな機材が必要」で「どんな作業フロー」なのか についての紹介です。
具体的なMayaの操作方法については、 Autodesk公式サイトに載っていますのでそちらを参照してください。
Create VR for Mayaについて・Autodesk公式サイト
ちなみにCreate VR for Mayaの操作方法のドキュメントは英語です。
目次
どんな機材が必要か?
まず、必要な機材からです。 ハードウェアとソフトウェアの両方で必要なものはこんな感じです。
- Maya2022 以上
- Create VR for Mayaプラグイン
- HTC VIVE または Oculus Rift
この3つが必要なものになります。
もちろん、このVRシステムを動かすためのパソコンも必要です。 VRはリアルタイム処理が必要になるので、 かなりハイスペックなパソコンが必要ですね。
ヘッドマウントディスプレイとMayaを快適に動かすための 推奨スペックは以下になります。
CPU |
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メモリ |
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グラフィックス |
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ちなみに、Autodesk公式サイトにもパソコンの推奨スペックが載っています。 RTX3060はGTX1080同等以上の性能になります。
このVRシステムを図に表すと、 以下のような画像になります。
Mayaの画面がヘッドマウントディスプレイに表示されて、 コントローラーを使って3Dモデリングをしていく感じですね。
VRの3D空間上に線を引いたり、 サーフェスを作成したりしていきます。
機材準備から3Dモデリングまでの流れ
さて、この3つの機材をどのような流れで準備して、 3Dモデリングをしていくのかを説明していきます。
まずはハードウェア含めたVRシステム側の準備をしていきます。 今回は、HTC VIVEを例にして説明していきます。
ちなみに手順としては、この3ステップになります。
- HTC VIVEを使えるようにする
- Create VR for Mayaプラグインをインストールする
- Mayaでモデリングする
それでは、順を追って説明していきます。
HTC VIVEを使えるようにする
まずは、ヘッドマウントディスプレイとコントローラーを3D空間上で使えるようにするための 設定をしていきます。
手順としては、この流れです。
- ベースステーションを設置する
- SteamVRで機器をセットアップする
- キャリブレーションする
最初にベースステーションを部屋に設置します。 このベースステーションでヘッドマウントディスプレイと コントローラーを認識して、3D空間で使えるようにします。
このベースステーションは、 一般的にライトスタンドにつけて設置することが多いようです。
ライトスタンドとは照明などを立てるための機材で、 Amazonで1本あたり3000円くらいで買えます。 Amazonで「ライトスタンド」と検索すると出てきます。
図だとこんな感じのやつですね。
このライトの部分にベースステーションをつけて、 なるべく上から見下ろすように設置していきます。
見下ろすので、人の身長より高い全長が2m以上あるとベストですね。
次にSteamVRというソフトを使って、 ヘッドマウントディスプレイ、コントローラー、ベースステーションを ペアリングしていきます。
VIVEの公式サイトからセットアップ用のソフトウェア「VIVE Setpu」 をダウンロードして、 インストールするとSteamVRも一緒にインストールされます。
VIVE Setupソフトの手順通りにやっていけば、 「機器のペアリング」と「キャリブレーション」までスムーズに行えます。
ソフトウェアのセットアップ画面はこんな感じで、 設定が終わったら「次へ」ボタンを押して進めていきます。
ちなみに「キャリブレーションってなにか?」というと、 「3次元空間を構築するための準備」だと思ってください。
VIVEの場合はヘッドマウントディスプレイとコントローラーを床に置いて キャリブレーションをします。 これで3次元空間を構築する準備をしていきます。
はい、というわけで、 ここまで終えれば HTC VIVEが使えるようになっています。
MayaにCreate VR for Mayaプラグインをインストールする
次にMaya側の準備ですが、 MayaのヴァージョンはMaya2022以降をインストールしてください。
Create VR for Mayaは2022からの機能なので、 2022より前のヴァージョンを使っている場合は、 更新する必要があります。
そして、Mayaをインストール後に プラグインのCreate VR for Mayaをダウンロードして インストールしていきます。
Create VR for MayaはAutodesk公式サイトから 無償でダウンロードできます。
Create VR for Autodesk Maya・Autodesk公式サイト
これですべての準備が完了です。
Mayaでモデリング
Create VR for Mayaを起動させて、 ヘッドマウントディスプレイを装着して、 コントローラーを手に持てば3Dモデリングを始めることができます。
まず、どんな感じで3Dモデリングしていくのかについては、 デモビデオがあるので、 これを見るとイメージが付いてくるかと思います。
通常のMayaでの3Dモデリングと同じように、 何もない状態からデザインするのはかなりスキルが必要です。
初心者はリファレンスとなる画像や3Dモデルをインポートしてから、 それを参照しながら3Dモデリングする感じになるでしょう。
ただ気を付けたいのは、 Maya2022のCreate VR for Mayaでは 通常のMayaで作成した3Dモデルを編集することはできません。 あくまでCreate VR for Mayaで参照するだけです。
さて、「具体的にコントローラーをどのように使うか?」については、 Autodesk公式サイトに動画付きでチュートリアルがあるので それを参考にしてください。
Get started in Create VR・Autodesk公式サイト
HTC VIVE製品とAutodesk製品を組み合わせて使うので、 ここまでたどり着くのになかなか苦戦しますよね…。
価格はどれくらい?
Create VR for Mayaで3Dモデリングをするには、 どのくらいの予算がかかるのか?ですが、 HTC VIVE Proを使った場合でざっくりこの金額です。
2025年03月現在の価格
Maya |
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Create VR for Maya |
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HTC VIVE Pro2 |
|
合計で495,000円です。
個人で買うにはなかなかの価格ですし、 会社の設備で購入してもそこそこの値段ですが、 果たして誰が使うのだろうか?というところを このあと考察していきます。
どんな分野で使える?
Create VR for Mayaは、 「どんな分野で使えるのか?」を考えると、 「企業の製品デザイン」と「アーティスト」が 挙げられると思っています。
製品デザイン
企業の製品デザインについては、 車のデザインなんかではすでにCreate VRを導入しているところが あります。
Mayaではなく、AliasというAutodeskの3Dデザインソフトになりますが、 カーメーカーが製品コンセプトの段階で使っているところもあります。
ちなみにCreate VRはMayaより先にAliasに対応しています。 車のクレイモデルを3Dでデザインするために 作られたと言っても過言ではないわけですね。
カーメーカー以外で製品デザインに使っているMayaも Create VRに対応したので、 今後は増えてくるかもしれませんね。
アーティスト
二つ目は3Dアーティストで使われる可能性がありそうです。
Mayaではありませんが、 せきぐちあいみさんというVRアーティストが すでに「HTC VIVE」と「TiltBrush」を使ったパフォーマンスをしています。
Aimi Sekiguchi -VR official Site
Create VR for MayaでもVRアートができるようになったので、 今後はこういうパフォーマンスするエンターテイナーが 増えてくるかもしれませんね。
今後どうなるか考察してみる
このようなVRデザインシステムが 比較的低価格で世の中にリリースされたことで、 VRがふたたび注目されつつありますね。
さて、これが爆発的に広まるかどうかは、 「企業でVRを使った業務をいかにつくれるか」 にかかってくるのではないでしょうか。
Mayaは 専門学校や美術系の大学、工業デザイン学科がある大学 の授業で使われ始めているので、急速に普及しています。
Mayaのスキルをつければ 就職先が見つかる可能性が高くなるため、 学校でも授業に取り入れているわけです。
しかし、VRスキルをつけたところで 会社で使う場所は限られてくるわけですね。
つまり、会社側でVRを使った仕事を作ってあげることで 普及率が変わってくるのです。
例えば、Aliasで車をデザインする時に Create VRを使うことでカーメーカーはデザインの効率化に成功しています。 Create VRを使ってデザインの時間を短縮することができるためですね。
そうすると、VRデザインのスキルがあるエンジニアが必要になってきますよね。 VRスキルの需要があれば、それを育てる教育の場も変わるはずです。
こんな感じで、今後は少しずつ変わっていくのではないか…と、 私は予想をしています。
今まで数百万円かかっていたVRシステムが、 手頃な値段で構築できるようになってきたので、 企業側の活性度も上がっていくことを望んでいます。
ちなみに、「個人で買えるVRシステム」と 「企業が使うようなVRシステム」についての記事も書いています。
もし興味があれば、 そちらも合わせてご覧ください。
Mayaのおすすめパソコン
当サイトでは、Mayaにおすすめのパソコンも紹介しています。
パソコンメーカー別に ローエンドからハイエンドまでのノートパソコンと デスクトップパソコンを提案しています。
Maya用のパソコンをお探しの方は、 そちらもあわせて参考にしていただければ嬉しいです。
まとめ
「初心者向け!MayaのVR機能で3Dモデリングする方法」についての まとめです。
Mayaを使ってVRデザインをするには、 「Maya2022以上」「Create VR for Mayaプラグイン」 「HTC VIVEまたはOculus Rift」が必要。
パソコンもCorei7以上でNVIDIAグラフィックスが推奨。
Create VR for Mayaで3Dモデリングするまでには、 「HTCVIVEを使えるようにする」「Create VR for Mayaをインストールする」 の手順が必要。
Create VR for MayaでVRデザインをするには、 約42万円強のコストがかかる。
VRデザインシステムは 「製品デザイン」と「VRアーティスト」で使われている事例がある。
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