Aliasのスペックとパソコンの選び方を解説
こんなことが知りたい
Autodesk Aliasの推奨スペックは?
Alias向けパソコンの選び方が知りたい!
ここでは、 Alias用にパソコンを検討している方に向けて 「Alias向けパソコンのスペックの目安」と 「パソコンを選ぶときのポイント」を解説しています。
「CPU、メモリ、グラフィックボードはどのようなスペックが最適?」 「ゲーミングPC、クリエイターパソコン、ワークステーションは どれがおすすめ?」 と、パソコン選びのときに気になることを取り上げて、 わかりやすく丁寧に説明していきます。
あなたのパソコン選びのお手伝いができれば幸いです。
目次
Aliasの推奨スペック
Aliasの動作環境は、開発元のAutodesk公式サイトに掲載されています。
GPU、メモリ、グラフィックボード、ストレージの 具体的なスペックは以下の表のとおりです。
推奨スペック
CPU |
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---|---|
メモリ |
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グラフィックス |
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ストレージ |
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ポインティングデバイス |
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上記のスペック表は、 Autodesk公式サイトに掲載されている情報をもとにして、 一部抜粋して転記しています。
この推奨スペック表をもとにして、 私の3DCADサポート経験を踏まえて、 CPU、グラフィックボードをもっと具体的にすると、 以下のスペックをおすすめとして提案できます。
おすすめスペック
CPU |
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---|---|
メモリ |
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グラフィックス |
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まずは、CPUについてですが、 Corei7、Ryzen7以上が最適です。 これは、Aliasでのモデリングでは、 操作時の速いレスポンスが快適性にかかわってくるためです。
CPU性能が高いことで、 ソフトウェアの処理速度のスピードが増して快適に感じます。 特に、3Dモデリングをするときには、 NURBS曲線のような補間処理が多く必要になり、 操作感が重くなりがちです。 この重い処理を軽快にするためにはハイエンドのCPUが最適なのです。
また、解像度の高いモニターを使用する場合は、 高性能なCPUが必須になります。 WQHD(2560x1440)の場合はCorei7以上で、 4K(3840x2160)解像度のモニターの場合は、 Corei9、Ryzen9がおすすめです。
CPUはグラフィックボードで処理をした3D映像を モニターに転送する役割を担っています。 グラフィックボードで速く3D映像処理をしても、 CPUがそれに見合ったスペックではないと、 表示が遅くなってしまうことがあります。
このような理由から、 ハイエンドのCPUが最適です。
続いて、グラフィックボードです。 グラフィックボードはNVIDIAもしくは、 AMDのエンジニア向けのグラフィックボードが最適です。
エンジニア向けのグラフィックボードとは、 NVIDIA RTXシリーズ、Tシリーズ、AMD RadeonProシリーズになります。
これは、 Aliasの認定グラフィックスに指定されているためです。 認定グラフィックスとは、Aliasで動作確認済みのグラフィックボードを指します。
Aliasの認定グラフィックスについては、 Autodesk公式サイトから確認することができます。
例えば、 ゲーム用途向けのGeForce、RadeonでもAliasのシステム要件を満たしています。 ただ、認定ハードウェアではないため、 不具合があったときの保証はありません。
私が3DCADサポートをしているときには、 必ず、不具合リスクを極力減らすことができるパーツを提案しています。 理由としては、トラブルシュートに無駄な時間を費やさないためです。
こういうことからも、 NVIDIA、AMDのエンジニア向けのグラフィックボードがおすすめです。
モニターの解像度が4Kの場合は、 GPUメモリが12GB以上のハイエンドグラフィックボードが最適です。 具体的なCPUとの組合わせとしては、 Corei9、Ryzen9とGPUメモリ12GB以上のNVIDIA RTXシリーズ、RadeonProシリーズです。
続いて、メモリです。 メモリはモデルのメッシュの大きさや、 頂点の数によってスペックを変えるのがいいでしょう。
一般的にコンセプトカー1台分で百万以上の頂点数になることが多いです。 この場合、16GBでも動作はしますが、 それ以上の頂点数になるとスペック不足になるリスクがあります。
より滑らかな外観を求めてモデリングをしたいならば、 数百万の頂点数になってきます。 そのような規模の3Dモデリングを考えているならば 32GB以上のメモリがおすすめです。
Alias向けパソコンを選ぶコツ
Alias向けのパソコンを選ぶときのコツとして、 次の3つのポイントを考慮することで、 失敗しないパソコン選びができるでしょう。
- 認定ハードウェアを選ぶ
- メモリは余裕を持つ
- スケッチならワコムタブレット
まずは、 グラフィックボード選びでは、 できるだけ認定ハードウェアを選ぶことです。
また、できるだけメモリは余裕を持ったスペックにすることがおすすめです。
そして、スケッチから入る場合は、 ワコムの液晶タブレットが推奨です。
各項目について、 詳しく説明していきます。
認定ハードウェアを選ぶ
パソコン選びのポイントの1つ目が、 Autodes公式の認定ハードウェアを選ぶことです。
なぜ認定ハードウェアを選ぶのが最適なのか? その理由は 「不具合対応のリスクを極力減らすことができるため」 です。
例えば、ゲーム用途向けのグラフィックボードのGeForceやRadeonを採用したときに、 もし万が一不具合があった場合、 トラブルシュートにかなりの時間を取られます。
「製品のデザインをする」という本来の作業とは違うところで 時間を取られてしまい、大きな損失になりかねません。 パソコンの不具合でスケジュールが遅延しても 「リスク管理の問題」として評価されてしまうこともあります。
このような大きな損失を避けるためにも、 予算をかけてしっかりと動作確認済みのグラフィックスを選び、 リスクを避けることをおすすめします。
Aliasのような3Dデザインをするソフトウェアは、 プロ向けの専用グラフィックスで高速に3D描画できるように調整されています。
ゲームとは違って描画の正確性も重要になってくるため、 AutodesはNVIDIAやAMDと連携しながら品質を保証しているのです。
このサポートコストがかかるため、 エンジニア向けのグラフィックボードは価格が高くなります。
しかし、これはユーザーが快適にデザイン作業に集中できるような品質保証です。 プロフェッショナル向けの3Dデザインソフトだからこそ 操作保証サポートが必要だと私は感じています。
メモリは余裕を持つ
パソコン選びのポイントの2つ目が 「メモリのスペックは余裕を持つ」です。
なぜメモリは余裕を持ったスペックにするのがいいのか? その理由は、 「製品コンセプトのデザインは、予想よりも規模が大きくなりがちだから」です。
例えば自動車のデザインでは、 マツダのようなClass AでAliasを使っているカーメーカーもあります。 車全体の3Dデータをスキャンして数百万ポリゴンのメッシュになることもあるでしょう。 また、金型に落とし込むために、高精度な曲線を表現する必要があります。
基本的に「キレイな曲線」を描くためには、 データ量が多いものをさらに補間することが必要です。 その基となるデータ量が多いと、 必然的にメモリ消費も多くなります。
このように車のような大きなモデルをデザインする場合は、 大量にメモリが消費される傾向にあります。
このような理由から、 予想している規模のデザインで使うメモリよりも、 少し余裕を持ったスペックにすることがおすすめです。
メモリが足りなくなると、 動作が急激に遅くなり、作業効率が大幅に悪くなります。 それを避けるためにも16GB以上のメモリを選ぶことをおすすめします。
スケッチならワコムタブレット
パソコン選びのポイントの3つ目が、 「スケッチにはワコムペンタブレットが推奨」 です。
ワコムペンタブレットがおすすめの理由は、 推奨スペックに「Wacom」が指定されているためです。
例えば、 いまでは、Wacomの他にもXP PenやGAOMONといった 低価格のペンタブレットが販売されています。 Windowsパソコンでは、これらペンタブレットはWacomと互換性があるので Wacomが使えるソフトであれば動く確率が高いです。
ただ、 推奨製品として挙げられていないので動作確認がされていないことが多いです。 こちらもグラフィックボードと同様で、 できるだけ不具合リスクを減らすためには、 推奨品を使うことがいいでしょう。
Aliasにはスケッチの機能が付いていますが、 これがWacomのペンタブレットと互換性があるのです。
こういう理由から、 Aliasでスケッチをするならば、ワコムのペンタブレットが最適です。
ちなみに、 Aliasを使わずにillustratorやPhotoshopといった デザインソフトでスケッチをする方も少なくありません。
その場合でも、 主要なデザインソフトでは、ワコムが推奨品として指定されているので 買い替えるということはないでしょう。
ちなみに、 液晶タブレットにするか、板状タブレットにするかですが、 これはあなたが慣れている方を選択するのがいいでしょう。
もし、初めてスケッチするならば、 紙に描くような感覚でスケッチできる液晶タブレットがおすすめです。 板状タブレットと比べると高価ですが、 直感的に描けるのでおすすめです。
Aliasにおすすめのパソコン
Aliasをコンセプトデザインで使う場合は、 価格が抑えられるクリエイターパソコンがおすすめです。
クリエイターパソコンは、 Aliasの推奨スペックを満たした CPU、メモリ、グラフィックボードをカスタマイズできるので、 予算にあったパソコンが選びやすいためです。
例えば、 Corei7、メモリ32GB、NVIDIA RTXシリーズのGPUメモリ8GBでも 25万円~30万円前後です。 NVIDIA Tシリーズであれば、もう少し価格も抑えられるでしょう。
具体的なおすすめパソコンは、 以下のページで紹介していますので、 よかったらこちらも合わせてご覧ください。
「Class A」までAliasを使ってデザインする場合は、 ハイスペックなパソコンが要求されることが多いため、 ワークステーションがおすすめです。
金型に落とし込んだり、 エンジニアに詳細を提出するために、 より高精細な曲線や形状を表現する必要があります。 そのため、膨大な情報量を高速に処理できる ワークステーションが最適です。
例えば、 高精度の3Dモデルを高速に処理できる Corei9、Ryzen9以上が選べて、 GPUメモリ12GB以上のNVIDIA RTXシリーズが付いているモデルは、 ワークステーションしか選べないメーカーが多いです。
具体的なおすすめワークステーションについては、 以下のページで取り上げていますので、 よかったらこちらも合わせてご覧ください。
AliasとMaya連携のスペック
Aliasで作成した3Dモデルを Mayaへ転送させて最終的な可視化をすることがあります。
例えば、 Aliasで作成した車の3DモデルをMayaに転送し、 Mayaで背景モデルを付け加えて可視化することもあるでしょう。
このようなAliasとMayaの相互運用をするときに、 使用するパソコンのスペックで気を付けることは、 「エンジニア向けのグラフィックボードを選ぶこと」です。
具体的には、 NVIDIA RTXシリーズとAMD RadeonProシリーズを選ぶことが重要です。 Mayaでは、認定ハードウェアにGeForce、Radeonも含まれていますが、 Aliasにはゲーム用途向けのグラフィックボードは含まれていません。
Maya、Aliasの両方を動作確認済みの エンジニア向けのグラフィックボードを選ぶことで信頼性の高くなり、 安定した運用ができるようになります。
また、Mayaのほかに、3dsMaxやVRED、Inventorとの連携も同様です。
Create VRのスペック
Aliasでは、 VRゴーグルとコントローラを使用することで 仮想空間上に3Dモデルを作ることできます。
Mayaにも同様の機能があります。
このVR機能を使うときには、 以下のスペックのパソコンが推奨されています。
CPU |
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---|---|
メモリ |
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グラフィックス |
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VRデバイス |
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基本的には、 Aliasの推奨スペックを満たしていれば、 Create VRのスペックも満たしているので 特に気にする必要はありません。
まとめ
「AutodeskAlias推奨スペック解説!パソコン選び方」 についてのまとめです。
AliasはNVIDIAかAMDの専用グラフィックスが必須。
CPUも専用グラフィックスがついているワークステーションクラスの スペックを選ぶのがおすすめ。
Aliasは動作保証済みの認定ハードウェアがある。
スケッチ機能を使うなら、 デジタルペンで絵を描けるワコムのペンタブレットを付属させるのがおすすめ。