Mayaを使うパソコンの推奨スペックと選び方
こんなことが知りたい
Mayaでモデリングに適しているパソコンのスペックは?
Mayaでアニメーション作成におすすめのパソコンは?
ここでは、 Maya向けのパソコンを検討している方に向けて 「Mayaパソコンのスペックの目安」と 「パソコンを選ぶときのポイント」を解説しています。
パソコン選びのポイントについては、 Mayaでよく使われる3つの用途について説明していきます。
- キャラクターのモデリング
- 製品デザインのモデリング
- アニメーション作成
この3つの用途に注目して、 パソコン選びのポイントを解説します。
また、合わせて「Mayaにおすすめのパソコン」も紹介しています。 私の3DCAD、3DCGサポート経験をもとに 初心者・中級者・上級者に最適なパソコンをピックアップしました。
目次
- Mayaパソコンの推奨スペック
- Mayaのおすすめパソコン
- 用途で選ぶ!Mayaパソコンのスペックのポイント
- ゲーム用途の3Dモデリング
- 製品デザイン用途の3Dモデリング
- ゲームと映像コンテンツ用途のアニメーション作成
- まとめ
Mayaパソコンの推奨スペック
Maya用のパソコンを選ぶには、 まずAutodesk公式サイトに載っている Mayaの推奨スペックを確認しておきます。
Autodesk公式サイトに載っている推奨スペックから 3Dデザインソフトで重要な「CPU、メモリ、グラフィックス」をピックアップして、 私の経験を考慮すると、おすすめスペックは下の表になります。
CPU |
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メモリ |
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グラフィックス |
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CPUのスペック
まずはCPUですが、「Corei7以上がおすすめ」です。
理由は、Mayaには「ワークステーション」か「ゲーミングパソコン」が 最適だからです。
この「ワークステーション」か「ゲーミングパソコン」で よく使われているCPUがCorei7以上になります。
ちなみにAutodesk公式サイトには、 CPUについて「64ビット インテルまたはAMD マルチコアプロセッサ」 と書いてあり、具体的なスペックについては記載がありません。
なぜCorei7以上なのか? ここで注目したいのが「グラフィックス」と「メモリ」のスペックです。
MayaではグラフィックスはNVIDIAまたはAMDが必須になっています。 また、メモリも16GB以上が推奨になっています。
このグラフィックスとメモリのスペックを満たすパソコンは、 「ワークステーション」か「ゲーミングパソコン」になります。
そして、「ワークステーション」と「ゲーミングパソコン」で よく使われているCPUがCorei7以上なのです。
つまり、Mayaは高性能な「グラフィックス」と「メモリ」が推奨なので、 それにあわせた高性能CPUも必要になる、というわけです。
メモリのスペック
続いて、メモリについては「16GB以上が推奨」です。
メモリ8GBが最小構成になりますが、 少し高精度な3Dモデルを作ろうとするとメモリ不足になるリスクがあります。
メモリ不足になると 急激に動作が遅くなり作業にならない場合があります。 そうならないためにもメモリを多めにしておく必要があります。
学生やMaya初心者の方でも、 少し余裕をもってメモリは16GBがおすすめです。
グラフィックスのスペック
最後にグラフィックスですが、 NVIDIAかAMDの専用グラフィックスが必須です。
Mayaの動作保証がされている「認定ハードウェア」として、 このNVIDIAとAMDのグラフィックスがあります。
必ず認定ハードウェアのグラフィックスが搭載されている パソコンを選んでください。
理由は「新しくパソコンを買ったけど、3D描画でうまく動かない…」という リスクを避けるためです。
認定ハードウェアについては、 Autodesk公式サイトから調べることができますので、 そちらもあわせて見てみてください。
認定グラフィックス ハードウェア・Autodesk公式サイト
「ゲーム用のグラフィックスであるGeForce、Radeon」と、 「CAD用のグラフィックスであるQuadro、RareonPro」がありますが、 基本的にどちらを選んでも問題ありません。
ただ、用途によってMayaと他のソフトを連携されることもあります。 そのときには「関連ソフトが適しているグラフィックスを選ぶのがおすすめ」です。
例えば、ゲーム開発ならばゲーム用グラフィックスを選ぶべきです。 製品デザインならばCAD用グラフィックスを選ぶべきです。
用途別のポイントについては、 このあと詳しく説明していきます。
Mayaのおすすめパソコン
私の3DCADサポート経験から 「いつもお客様に提案しているスペックのおすすめパソコン」を ピックアップしました。
「おすすめのデスクトップ」と「おすすめノートパソコン」に 分けて紹介しています。
初心者、中級者、上級者に向いているパソコンを それぞれ提案しています。
おすすめデスクトップ
スキル目安 |
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CPU |
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メモリ |
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グラフィックス |
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SSD |
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価格 |
26万円弱~ |
マウスのゲーミングパソコンG-Tuneシリーズです。 初心者から中級者に向いている コストパフォーマンスが高いパソコンです。
どれにするか迷っているならば、 「3Dデータを扱うならこれを選べば間違いないパソコン」 としておすすめできます。
OMEN by HP 25L Gaming Desktop GT15-0760jp パフォーマンスモデル 【S1】
スキル目安 |
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CPU |
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メモリ |
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グラフィックス |
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SSD |
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価格 |
24万円強~ |
HPの人気ゲーミングPC OMENシリーズです。 初心者から中級者に向いています。 HPの人気ゲーミングPCブランドで、 国内で3年連続で出荷台数トップのパソコンです。
人気のGeForce RTX4000シリーズが選べて、 3Dを扱うならおすすめのパソコンです。
SENSE-M0P5-R56X-RLX [Windows 11 Home]
CPU |
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メモリ |
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グラフィックス |
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SSD |
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価格 |
15万円弱~ |
パソコン工房のクリエイターパソコンです。 RyzenのCPUを搭載している価格重視の方におすすめな ミドルエンドのスペックのパソコンです。
予算に応じてメモリを16GBか32GBに変更することができる 柔軟さがあるのがうれしい商品です。
おすすめノートパソコン
スキル目安 |
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CPU |
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メモリ |
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グラフィックス |
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SSD |
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価格 |
23万円弱~ |
マウスのクリエイターパソコンDAIVシリーズの人気商品です。 初心者から中級者に向いている 最もコストパフォーマンスが高いパソコンです。
第13世代のCPUとミドルエンドのGeForceRTX4060を搭載していて、 「3Dデータを扱うならコレ!」とおすすめできるノートパソコンです。
OMEN by HP 16-wf0022TX パフォーマンスモデル
スキル目安 |
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CPU |
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メモリ |
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グラフィックス |
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SSD |
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価格 |
20万円弱~ |
HPの人気ゲーミングPCのOMENシリーズです。 初心者から中級者に向いているコストパフォーマンスが高いパソコンです。
インテル第13世代のCPUと NVIDIA GeForce RTX4000シリーズが組み合わさった人気モデルです。 グラフィックスはRTX4060、RTX4070、RTX4080の中から選べるので 予算に合わせたパソコンを選べます。
スキル目安 |
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CPU |
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メモリ |
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グラフィックス |
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SSD |
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価格 |
18万円弱~ |
Lenovoの3DCG向けゲーミングPCです。 グラフィックスとCPUは1世代前ですが、 低価格というメリットがあるパソコンです。
レンダリングにおすすめのパソコン
レンダリングを短時間で行うために、 Quadro系のハイエンドグラフィックスまたは、 ハイエンドGeForceで そのパフォーマンスを最大限に生かすCPUが搭載されたパソコンを紹介します。
高解像度の画像や、長いアニメーションをレンダリングするためのパソコンです。
CPU |
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メモリ |
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GPU |
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SSD |
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価格 |
39万円弱~ |
マウスの3DCG向けのハイエンドクリエイターパソコンです。 新しい世代のGPU 12GBの高性能グラフィックスと 新しい13世代Corei7の高性能CPUの組み合わせで 高速レンダリングを実現してくれます。
SENSE-F0X7-LCR79X-NNX [Windows 11 Home]
CPU |
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メモリ |
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GPU |
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SSD |
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価格 |
48万円弱~ |
PC工房のハイエンドクリエイターパソコンです。 中級者から上級者に最適な RyzenのCPUを搭載したハイエンドパソコンです。 高速レンダリングに向います。
OMEN by HP 40L Desktop GT21-0770jp ハイパフォーマンスモデル 【S1】
CPU |
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メモリ |
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GPU |
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SSD |
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価格 |
31万円強~ |
HP人気ゲーミングPCのOMENシリーズです。 第13世代のCPUと新しい世代のGeForce4000シリーズを搭載した ハイエンドパソコンです。
人気シリーズのため、セール時期には売り切れになることもあるため 在庫があったら早い決断がおすすめです。
CPU |
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メモリ |
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GPU |
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SSD |
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価格 |
60万円弱~ |
HPのモバイルワークステーションです。 Quadro系のRTX Aシリーズと最新のRTX Adaシリーズを搭載した 上級者向けレンダリングパソコンです。 カスタマイズの選択肢も多く予算に合わせて選べます。
用途で選ぶ!Mayaパソコンのスペックのポイント
さて、上で解説した推奨スペックですが、 じつはMayaの用途でも多少スペックが変ることがあります。
一般的にMayaがよく使われる用途をピックアップしてみると、 この3つになるかと思います。
- ゲーム用途の3Dモデリング
- 製品デザイン用途の3Dモデリング
- ゲームと映像コンテンツ用途のアニメーション作成
Mayaは多機能なので他にも使用用途がたくさんあるのですが、 私がサポートエンジニアとして仕事したときに、 対応件数が多かったのがこの3つになります。
MayaといえばゲームやCG映像コンテンツというイメージですが、 企業での工業デザインで使われることもかなり多いのです。
大学で工業デザイン専攻の学生がMayaを使うことが多いのも 理由のひとつかもしれません。
ということで、 それぞれの用途でおすすめスペックを解説していきます。
ゲーム用途の3Dモデリング
「ゲームで使用するキャラクターを制作する」という目的で Mayaを使う場合のパソコン選びから説明します。
まずはおすすめスペックは、 こんな感じになります。
CPU |
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---|---|
メモリ |
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グラフィックス |
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CPUとメモリは 初めに紹介した推奨スペックと変わりないですが、 注目したいのがグラフィックスです。
グラフィックスでおすすめなのが 「ゲーム用途で使われるGeForceとRadeonのグラフィックス」です。
理由としては、 ゲーム開発で使うゲームエンジンや、 完成したゲームのユーザーが使う予定のパソコンに搭載されているのが 「ゲーム用のグラフィックス」だからです。
つまり、最終的にユーザーが使うパソコン環境で開発、 3Dモデリングすることで不具合リスクを減らせるわけですね。
例えば、 ゲームはUnityやUnrealEngineなどのゲームエンジンで開発をすることが多いです。 これらソフトに向いているのがゲーム用のグラフィックスです。
3Dモデリングとプログラミングをする役割は分担されているので、 キャラクターを作っている人が 直接ゲームエンジンで確認することは少ないでしょう。
しかし、3Dモデリングをしてできあがったキャラクターを ゲームエンジンで確認したときに「あれ?なんかおかしくない?」って なることがあるのですね。
これは、3Dモデリングしているパソコンと プログラミングしているパソコンのグラフィックスが違うことが 原因ということもあるのです。
無駄なトラブルを減らすという意味でも ゲームキャラクターを使う用途であれば ゲーム用のグラフィックスがおすすめです。
製品デザイン用途の3Dモデリング
「製品デザインの3Dモデリングに使用する」という目的の場合の パソコン選びについて説明します。
おすすめスペックはこちらです。
CPU |
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---|---|
メモリ |
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グラフィックス |
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CPUとメモリは 初めに紹介した推奨スペックと同じですが、 注目したいのはグラフィックスです。
おすすめのグラフィックスは 「3DCADで使われるQuadro系のグラフィックス」です。
理由としては、 「3DCADソフトも一緒に使うことが多いため」です。
製品デザイン用途でのMayaは、 「CAD設計図から広告宣伝用のCGを作る」ことと 「CGのコンセプトモデルからCAD設計をする」ことの2パターンあります。
どちらのパターンも、 CADモデルをインポートしたりエクスポートしたりするのです。
つまり、同じパソコンでMayaと3DCADを使うことがあるので、 両方のソフトが快適に動くようなパソコンが必要ということです。
3DCADソフトはQuadro系のグラフィックスのみが 認定ハードウェアになっていることが多くて、 ゲーム用のグラフィックスはあまり推奨されていません。
こういう理由で、 3DCADと一緒にMayaを使うことも考えて グラフィックスをQuadro系にすることをおすすめします。
ちなみに、比較的人数の多い会社だと CGデザイナーとCAD設計者が分かれていることが多いですが、 中小企業だと兼務することが少なくありません。
CGデザイナーとCAD設計者が分かれている場合は、 「MayaパソコンはGeForceで、CADパソコンはQuadro」としても問題ありませんが、 兼務している場合はQuadroパソコンで統一するのがおすすめです。
ゲームと映像コンテンツ用途のアニメーション作成
「アニメーション作成」という目的の場合のパソコン選びについて説明します。
おすすめスペックはこちらです。
CPU |
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---|---|
メモリ |
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グラフィックス |
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アニメーション作成では、 「3Dアニメーションのリアルタイム描画」や 「画を作るためのレンダリング」が欠かせません。
これに耐えられるスペックが ハイエンドのワークステーションパソコンまたは、 ハイエンドのゲーミングパソコンになります。
CPUは3GHz以上がおすすめです。 Corei7やXeonでもクロック数が2~4GHzのものがあります。 CPUはできるだけ速いクロック数がソフトの応答性とレンダリングの時間短縮に有効です。
メモリも32GBがおすすめです。
アニメーションは時系列データなので、 3Dモデリングと比べてメモリ消費量が多くなります。 時間軸の情報が必要になるため、多くメモリを消費するわけですね。
また、キャラクターに高解像度のテクスチャーを使っていると メモリの消費量が多くなります。 こんな理由で、メモリは多めがおすすめです。
そして、グラフィックスもミドルエンド以上の 描画速度が速いゲーム用グラフィックスが有効です。
ただし、キャラクターのポリゴン精度が高くない場合は、 4GB GPUのローエンドのグラフィックスでも問題はないでしょう。
例えば、こんなデフォルメキャラクターを アニメーションするのはローエンドグラフィックスでも十分です。
しかし、こんな感じのバイクと女性を背景付きで動かしたいのであれば、 ミドルエンド以上のグラフィックスが推奨ですね。
ちなみに、アニメーション作成はタイムスライダーを動かしながら、 何度も何度もキャラクターの動きを確認するので、 高速描画ができるグラフィックスで快適性が大きく変わってきます。
また、レンダリングをしてアニメーションを出力するときも GPUメモリが多いと時間短縮につながります。
グラフィックスは高価なので、 ここは予算と相談する必要がありますね。
Mayaを安く手に入れるには?
さて、ここまでMaya向けのパソコンについて解説してきましたが、 Mayaのライセンスについても解説しています。
Mayaはサブスクでライセンスを購入しますが、 「買い方」で価格が若干変わってきます。 あなたがMayaをどれくらいの期間使うかで、 おすすめのサブスクライセンスが変わってくるわけです。
例えば、3年間くらいは使う予定だけど、 どの期間のサブスクがお得なのか? 気になりますよね。
そんなMayaのライセンスの買い方について 解説しています。
興味があれば、ぜひこちらももあわせてご覧ください。
まとめ
「Mayaの推奨スペックはコレ!失敗しないパソコンの選び方」 についてのまとめです。
Mayaの推奨スペックは ワークステーションかゲーミングパソコン程度の性能。
CPUはCorei7以上がおすすめ。 メモリは16GB以上がおすすめ。 グラフィックスはNVIDIA、AMDの専用グラフィックスが必須。
Mayaをゲーム向け3Dモデリングで使う場合は、 ゲーム用のグラフィックスが推奨。
ゲームエンジンやゲームのユーザーがじっさいに使う 環境でモデリングをすることで不具合リスクを減らせる。
Mayaを製品デザインで使う場合は、 Quadro系ののグラフィックスが推奨。
3DCADソフトの認定ハードウェアは Quadro系しかないため。
Mayaをアニメーション作成で使う場合は、 高性能CPUと高性能グラフィックスが推奨。
アニメーション作成では、 ソフトウェアの即時応答性を求められるので CPUとグラフィックスのスペックが快適性に影響する。
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