Fusion360用パソコンのスペック目安と選び方
こんなことが知りたい
Fusion360の推奨スペックは?
Fusion360向けパソコン選びのポイントを知りたい
ここでは、Fusion360用のパソコンを検討している方に向けて 「Fusion360のパソコンスペックの目安」と 「失敗しないパソコン選びのポイント」を解説しています。
Fusion360は、比較的スペックの低いパソコンでも動作する3DCADソフトです。 しかし、中規模以上の設計になってくると、低いスペックのパソコンでは 快適に動かなくなることも多々あります。
これを考慮して、 「小規模のモデリングをする場合」と 「中規模以上のモデリングをする場合」での 推奨スペックを解説していきます。
また、「Fusion360におすすめのパソコン」もあわせて紹介していきます。
目次
- Fusion360パソコンの推奨スペック
- モデリング規模の目安
- 小規模のモデリング
- 中規模以上のモデリング
- おすすめパソコン
- Fusion360のグラフィックスはどれを選ぶ?
- 他の3DCADソフトと連携するときのポイント
Fusion360パソコンの推奨スペック
まず、Fusion360の動作スペックについてですが、 Audodeskの公式サイトで確認することができます。
Autodesk Fusion 360 の動作環境・Autodesk公式サイト
Audodesk公式サイトに載っている動作スペックは、 「この仕様を満たせばFusion360が動きます」という目安です。 ストレスなく快適に動くかどうかではないことに注意してください。
ちなみに、Fusion360は「モデリングする規模」によって、 パソコンのスペックを変えるのがおすすめです。 なぜなら、Fusion360はスペックの低いパソコンでもある程度動いてしまうためです。 Autodesk公式サイトに載っている動作スペックも最低限動くスペックが記載されています。
例えば、Fusion360はCPU内蔵グラフィックスでも動作しますが、 複雑なモデリングをしたときに部品数が多くなることで、 3D表示が極端に遅くなることもあります。
つまり、公式サイトに載っている最低限動くスペックのパソコンを買ってしまうと、 少し複雑なモデリングをしたときに 動きが遅くなってしまったり、途中で止まってしまうリスクがあるということです。
このリスクを減らすためにも、 「自分がどのような規模のモデリングをするのか」を考えて パソコンスペックを選定する必要があります。
そのモデリング規模を踏まえて、 さらに私のサポート経験を考慮して、 スペックを選定してみました。
Autodesk公式サイトに載っている動作スペックから 3DCADで重要な「CPU、メモリ、グラフィックス」をピックアップして、 モデリング規模別にまとめた推奨スペックが以下の表です
小規模なモデリングをする場合
CPU |
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---|---|
メモリ |
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グラフィックス |
|
中規模以上の複雑なモデリングをする場合
CPU |
|
---|---|
メモリ |
|
グラフィックス |
|
上の表に載っているスペックは、Windowsパソコンについてです。
Macについて
Fusion360はMacも対応しています。
最新のMシリーズを搭載したパソコンでいうと、 Macは「小規模モデリングはM1、M2」 「中規模以上モデリングはM1 Pro、M1 Max」がおすすめです。
メモリは上の表と同じ容量が適切になります。
Macを選ぶときの注意点ですが、 MacのMシリーズが搭載されているパソコンでは、 Rosetta2をインストールしないと正常に動かない場合があります。
Fusion360の動作確認がされているハードウェアとして Autodeskは「認定グラフィックス」というものを載せています。
認定ハードウェアの詳しい情報は、Autodesk公式サイトに載っています。
認定グラフィックス ハードウェア・Autodesk公式サイト
2022年9月現在、 「Mac OSX 12」で「Apple M1 8コア」が認定ハードウェアとしてあり、 動作確認済みです。
モデリング規模の目安
推奨スペックについて「小規模モデリング」と 「中規模以上モデリング」に分けて説明しましたが、 そもそも「モデリング規模がわからない」場合もあるかと思います。
Fusion360のパソコン選びで失敗しないためには、 「あなたがどのくらいの規模の3Dモデリングをするのか を把握することがポイント」です。
ということで「小規模の3Dモデリング」と 「中規模以上の3Dモデリング」 について、簡単な例を出して説明していきます。
ちなみに、小規模と中規模以上のモデリングをするユーザーとしては、 こんな方がいるかと思います。
小規模の3Dモデリング
- 初めてFusion360を使う人
- 大学の授業でFusion360使う学部生
- 社会人1~3年目のエンジニア
中規模以上の3Dモデリング
- 200以上の部品を組合せて設計する人
- 大学の研究のためにFusion360を使う大学院生
- 社会人4年目以上のエンジニア
私が会社でサポートさせてもらったお客様は、 おおまかにこんな感じでした。 あくまで個人的な経験をもとに振り分けたので、 目安として考えていただければと思います。
小規模のモデリング
まずは、小規模モデリングがどれくらいの規模なのか?についてです。
「小規模の3Dモデリングとはどのようなものを作ることを言うのか?」 ですが、例えば、カッターナイフのような製品を設計する程度です。 図だとこんな感じです。
この3DCADデータは、Fusion360のサンプルデータに入っています。 部品の数も6個と少ないです。 部品の端を丸くするような「面取り」や「フィレット」という設定も少なくしています。
小規模モデリングのおおよその目安としては、 部品に当たる「コンポーネント数が50個以内」です。 部品の形状は、 穴や押し出し部分が少なく、シンプルなものを使います。
簡単なものしか作れないように思われますが、 50個のコンポーネントがあれば、 日用品や家具、小物などの設計はほとんどできます。
カッターナイフの他にどのようなものが 小規模モデリングに当たるかというと、 例えば、「卓上ランプ」などもあります。 Fusion360のサンプルデータに入っています。
趣味や独学、 会社で簡単なものを設計する場合には、 小規模モデリングのスペックのパソコンで十分でしょう。
また、できたモデルの画像を出力する機能のレンダリングもある程度できます。 Fusion360はテクスチャ機能といって、 部品の表面に画像を貼ることができますが、 このテクスチャーの数も少なければ短時間でレンダリングできます。
中規模以上のモデリング
続いて、中規模以上のモデリングについてです。
「中規模の3Dモデリングとはどのような設計か?」というと、 例えば、車全体を3Dモデリングするような感じです。 図で表すと、こんな感じです
この3DCADデータは、部品であるコンポーネント数が約1000個あります。 ドアの部分がジョイントで接続されていて開閉する仕組みになっていたり、 車体の部品が丸みを帯びるように面取り加工が施されています。
中規模以上のモデリングのおおよその目安としては、 部品に当たる「コンポーネント数が50個以上」です。 コンポーネント同士が接続されて動く仕組みを入れたり、 部品形状も複雑なものを使います。
この他の例としては、 ラジコンの車体に載っている部品のモデリングなども コンポーネントの数が多くなる中規模以上のモデリングになります。
ギア形状やバネ形状のような複雑な形の部品を ストレスなく加工したり表示するためには、 CPUとグラフィックス性能が高くないといけません。
部品の数が多くなると、メモリ容量も多く必要になります。
おすすめパソコン
私のCADサポート経験から 「いつもお客様に提案しているスペックのおすすめパソコン」を ピックアップしました。
「おすすめのデスクトップ」と「おすすめノートパソコン」に 分けて紹介しています。
小規模設計、中規模設計、大規模設計に向いているパソコンを それぞれ提案しています。
おすすめデスクトップ
設計目安 |
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CPU |
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メモリ |
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グラフィックス |
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SSD |
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価格 |
25万円弱~ |
マウスの3DCAD向けクリエイターパソコンです。 グラフィックボードはT1000シリーズが搭載された カスタイマイズ性の高いパソコンです。
CPU、メモリ、ストレージはカスタイマイズ可能で 予算にあわせてスペックを変えられます。 中規模設計に向いているコストパフォーマンスが高いパソコンです。
SENSE-MWP5-R57X-NBX [Windows 11 Home]
設計目安 |
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CPU |
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メモリ |
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グラフィックス |
|
SSD |
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価格 |
12万円強~ |
パソコン工房の3DCAD向けクリエイターパソコンです。 Ryzen7を搭載した価格の安さが特長のパソコンです。 主に小規模設計から中規模設計に適しています。
設計目安 |
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CPU |
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メモリ |
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GPU |
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SSD |
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価格 |
33万円強~ |
マウスの3DCAD向けクリエイターパソコンです。 中規模設計から大規模設計までできるパソコンです。 高速レンダリングをしたい方に向いています。
【Dell】New Precision 3460 スモール フォーム ファクター プラチナモデル(大容量メモリー・SSD・グラフィックカード搭載)
設計目安 |
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CPU |
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メモリ |
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GPU |
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SSD |
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価格 |
13万円強~ |
認定ハードウェア
- SolidWorks
- CATIA 3Dエクスペリエンス
DELLの3DCAD向けワークステーションです。 多彩なカスタマイズができるパソコンです。 中規模設計から大規模設計までできるパソコンを構成することができます。
おすすめノートパソコン
セール中の注目パソコン
9/30までセール中「8%OFF」
設計目安 |
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CPU |
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メモリ |
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GPU |
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SSD |
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認定ハードウェア
- SolidWorks
- CATIA 3Dエクスペリエンス
HPの人気モバイルワークステーションZBookシリーズです。 小規模から中規模設計に向いているパソコンです。
新しい第13世代のCPUとNVIDIA RTX A500が組み込まれています。 9/30までセール中で8%OFFで購入できるお得な商品です。
ただ、製品の在庫状況により、 予告なくクーポンを終了する可能性があります。
設計目安 |
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CPU |
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メモリ |
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GPU |
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SSD |
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価格 |
37万円強~ |
認定ハードウェア
- AutoCAD
- Fusion360
- SolidWorks
- CATIA 3Dエクスペリエンス
HPの3DCAD向けモバイルワークステーションです。 小規模から中規模設計に向いているパソコンです。
3DCADでは不動の人気であるZBookシリーズのエントリーモデルです。 「迷ったらコレ!」を自信を持って言える 失敗しない3DCAD向けノートパソコンです。
設計目安 |
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CPU |
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メモリ |
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GPU |
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SSD |
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価格 |
22万円弱~ |
- AutoCAD
- Fusion360
- SolidWorks
- CATIA 3Dエクスペリエンス
Lenovoの3DCAD向けモバイルワークステーションです。 中規模設計に向いています。 人気のP15シリーズのAMD版パソコンです。
AMDを採用することでインテルCoreシリーズよりも価格が低くなり 幅広い層で選ばれています。
【Dell】New Precision 3581 ワークステーション
設計目安 |
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CPU |
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メモリ |
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GPU |
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SSD |
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価格 |
26万円強~ |
認定ハードウェア
- AutoCAD
- SolidWorks
- CATIA 3Dエクスペリエンス
DELLの3DCAD向けモバイルワークステーションです。 中規模設計に向いています。 機械系3DCADで定番のPrecisionはコスパに優れたノートパソコンです。
より速いパソコンを求めているあなたにおすすめ
設計目安 |
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CPU |
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メモリ |
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GPU |
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SSD |
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価格 |
41万円強~ |
マウスの3DCAD向けクリエイターパソコンです。 大規模設計までできるハイエンドのスペックを持ち合わせパソコンです。
第13世代のCPUとRTX A4000が搭載されてこの価格で、 コストパフォーマンスが高いパソコンです。 高速レンダリングに向いています。
設計目安 |
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CPU |
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メモリ |
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GPU |
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SSD |
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価格 |
69万円弱~ |
認定ハードウェア
- SolidWorks
- CATIA 3Dエクスペリエンス
- Revit
HPの3DCAD向けワークステーションです。 中規模設計~大規模に向いています。 3DCADや3DCGの法人向けワークステーションで 圧倒的な実績を誇るZシリーズのミドルエンドパソコンです。
SENSE-F079-LC139KF-NNX [Windows 11 Home]
設計目安 |
![]() ![]() |
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CPU |
|
メモリ |
|
GPU |
|
SSD |
|
価格 |
46万円強~ |
PC工房の3DCAD向けクリエイターパソコンです。 中規模設計から大規模設計までできる 第13世代のCPUを搭載したハイエンドパソコンです。 高速レンダリングに向いています。
Macのおすすめ3DCADパソコン
MacBook Pro 16.2インチ Apple M2 Pro
「メモリ16GB、Apple M2 Proチップ、SSD 512GB、16インチ」の 12コアCPU、19コアGPUモデルです。
M2 Pro搭載の高性能MacBookProです。 画面サイズの大きな16インチモニターのノートタイプです。
MacBook Pro 14.2インチ Apple M2 Pro
「メモリ16GB、Apple M2Proチップ、SSD 1TB、14インチ」の 12コアCPU、19コアGPUモデルです。
持ち歩きもできる14インチモニターの小型ノートタイプです。
Fusion360のグラフィックスはどれを選ぶ?
一般的に3DCADはQuadroシリーズやRadeonProシリーズが推奨です。 しかし、Fusion360はDirectXによる3D表示やアニメーション表示をしているので、 GeForceやRadeonでもパフォーマンスを出すことができます。
つまり、 低価格でコストパフォーマンスが高いNVIDIAのGeForce、AMDのRadeonシリーズ でも動作するわけですね。
また、CPU内蔵グラフィックスでもある程度は動きます。 しかし、コンポーネント数が多くなり、 メモリ不足するとFusion360ソフト上でグラフィックスの機能制限がかかります。 Fusion360画面に警告が出てきます。
CPU内蔵グラフィックスはこういうリスクがあるので、 予算が少ない場合でも NVIDIA、AMDのエントリーモデルを選ぶことをおすすめします
ちなみに、Quadroシリーズ、RadeonProシリーズは認定グラフィックスに指定されています。 認定グラフィックスとは「Fusion360の動作確認済みグラフィックス」のことです。
認定グラフィックスはAutodesk公式サイトに載っているので、 あわせてそちらも参照してもらえればと思います。
認定グラフィックス ハードウェア・Autodesk公式サイト
Fusion360の動作確認済みで安心を得たいならばQuadro、RadeonProシリーズで、 価格を抑えたいならばGeForce、Radeonシリーズを選択するのがおすすめです。
他の3DCADソフトと連携して使う方のパソコン
Fusion360の特長としてあるのが、他の3DCADソフトとの連携です。 Fusion360と連携することの多いソフトを挙げると、 こんな3DCADソフトがあります。
Fusion360と連携が多いソフト
- Inventor
- Alias
- SolidWorks
- Revit
- Maya
特に「Inventor、Alias、SolidWorks」とは連携しやすいように Fusion360からモデルをエクスポートする機能があります。
さて、Fusion360と他の3DCADソフトを連携させて同じパソコンで両方動かす場合は、 推奨スペックの高い方を基準にパソコンを選ぶ必要があります。
つまり、大は小を兼ねるわけです。
ちなみに、Inventor、Alias、SolidWorks、Revit、Mayaの推奨スペックを見てみると、 すべてのソフトがFusion360の推奨スペック以上になっています。
この5つの3DCADソフトとの連携を考えていて、 かつ同じパソコンでFusion360も使うのであれば 必ず連携するソフトの推奨スペックを基準にパソコン選びをすれば 失敗しないでしょう。
Inventor、Alias、SolidWorks、Revit、Mayaには 認定ハードウェアといって、 動作保証をしているグラフィックスまたはパソコンがあるので、 パソコン購入前にはそちらも絶対チェックしてください。
各3DCADソフトウェアの推奨スペックについては、 別のページでまとめていますので、 そちらもあわせて参照ください。
おまけ・Fusion360は3Dプリンタとの連携がシームレスな件
私の同僚が会社でFusion360を好んで使っています。 その理由は「3Dプリンタとの連携がしやすいから」らしいのです。
通常、3Dプリンタに形状データを持っていくときは STL形式でデータのやり取りをします。
このSTLデータは汎用フォーマットなので、 ほぼすべての3DCADソフトで出力ができます。
じゃあ、Fusion360でなくてもいいのでは?と思いますが、 他の3DCADだとSTLを3Dプリンタに持っていきプリントアウトすると 崩れてしまうことがけっこうあるのだとか。
Fusion360はここら辺をうまく調整してくれて、 崩れない形状のデータでSTL出力してくれるのですね。
Fusion360と3Dプリンタの連携がいい!という理由は、 ここにあったりします。
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