Fusion360用パソコンのスペック目安と選び方
こんなことが知りたい
「Fusion360の推奨スペックは?」
「Fusion360向けのパソコン選びで、どんなところに気を付ければいい?」
ここでは、Fusion360用のパソコンを検討している方に向けて 「Fusion360のパソコンスペックの目安」と 「失敗しないパソコン選びのポイント」を解説しています。
Fusion360は、スペックが低いパソコンでも動作する優れモノです。 しかし、中規模の設計になってくると、低いスペックのパソコンでは スペック不足になることがあります。
パソコンのスペックの目安については、 私の経験をもとにして、 モデリングの規模ごとに説明していきたいと思います。
この記事を書いた人
さくら
- 3DCADサポートエンジニア
- サポート歴7年
- Autodeskとダッソー製品のカスタマーサポートに従事
目次
- Fusion360パソコンの推奨スペック
- モデリング規模で選ぶ!Fusion360パソコンのスペック
- 小規模モデリングのスペック
- 中規模以上のモデリングのスペック
- 他の3DCADソフトと連携するときのポイント
- Fusion360のおすすめパソコン
- Macの推奨スペックとおすすめパソコン
- まとめ
Fusion360パソコンの推奨スペック
Fusion360用パソコンを選ぶには、 まずAutodesk公式サイトに載っている Fusion360の推奨スペックを確認することをおすすめします。
Autodesk Fusion 360 の動作環境・Autodesk公式サイト
Autodesk公式サイトに載っている推奨スペックから 3DCADで重要な「CPU、メモリ、グラフィックス」をピックアップして、 私の経験を考慮すると、必要なスペックは下の表になります。
CPU |
|
---|---|
メモリ |
|
グラフィックス |
内臓グラフィックス 6GBメモリ |
スペックの幅が少し広いのは、 Fusion360は比較的低いスペックのパソコンでも動作するためです。
CPUについて
Autodeskに載っている動作スペックでは、 「4コア、1.7Ghz以上のCoreiシリーズ、RyzenシリーズのCPU」が 推奨されています。
これを満たしていて、 Fusion360を快適に動かすために推奨なのがCorei5以上、Ryzen5以上のCPUになります。
アニメーションや構造解析の機能まで使うと、 クロック数の高いCPUがおすすめです。 私が会社でいつも使っているFusion360が入っているパソコンは、 3GHz以上のCPUを採用しています。
メモリについて
また、メモリに関しては4GB以上と書いていますが、 中規模以上の3Dモデリングをする場合は8GB~16GBが個人的にはおすすめです。
私の経験上、 具体的には、部品(コンポーネント)の数が1000以下までは8GB程度で 急激に動作が遅くなることはありませんでした。
ただ、部品の数が1000を超えるような場合は、 16GBをおすすめしています。
例えば、歯車を使って機構を作るような作業であったり、 車のシートのようにレバーを引くと倒れるような機構を設定したり、 車全体をすべてモデリングするような場合は、 部品の数が1000近くになることがあります。
グラフィックスについて
一般的に3DCADはQuadroシリーズやRadeonProシリーズが推奨です。 しかし、Fusion360はDirectXによる3D表示やアニメーション表示をしているので、 GeForceやRadeonでもパフォーマンスを出すことができます。
つまり、 低価格でコストパフォーマンスが高いNVIDIAのGeForce、AMDのRadeonシリーズ でも快適に動作するわけですね。
CPU内蔵グラフィックスでも動きますが、 メモリが圧迫されるとFusion360でグラフィックスの機能制限がかかります。 Fusion360画面に警告が出てきます。
こういう動きが遅くなるリスクを軽減するために、 予算が少ない場合でも NVIDIA、AMDのエントリーモデルで価格の低いグラフィックス選んでもらいたいです。
ちなみに、Quadroシリーズ、RadeonProシリーズは認定グラフィックスに指定されています。 認定グラフィックスとは「Fusion360の動作確認済みグラフィックス」のことです。
認定グラフィックスはAutodesk公式サイトに載っているので、 あわせてそちらも参照してもらえればと思います。
認定グラフィックス ハードウェア・Autodesk公式サイト
Fusion360の動作確認済みで安心を得たいならばQuadro、RadeonProシリーズで、 価格を抑えたいならばGeForce、Radeonシリーズを選択するのがいいでしょう。
さて、ここから、3Dモデリングの規模によって、 もう少し推奨スペックを絞っていきたいと思います。
モデリング規模で選ぶ!Fusion360パソコンのスペック
Fusion360のパソコン選びで失敗しないためには、 まず、「あなたがどのくらいの規模の3Dモデリングをするのか を把握することがポイント」です。
ここでは、「小規模の3Dモデリング」と「中規模以上の3Dモデリング」 の二つに分けて解説していきます。
ちなみに、小規模と中規模以上のモデリングをするユーザーとしては、 こんな方がいるかと思います。
小規模の3Dモデリング
- 初めてFusion360を使う人
- 大学の授業でFusion360使う学部生
- 社会人1~3年目のエンジニア
中規模以上の3Dモデリング
- 200以上の部品を組合せて設計する人
- 大学の研究のためにFusion360を使う大学院生
- 社会人4年目以上のエンジニア
私が会社でサポートさせてもらったお客様がこんな感じでした。 ちなみに、 あくまで個人的な意見なので、目安として考えてください。
小規模モデリングのスペック
Fusion360で小規模の3Dモデリングをする場合は、 一般的にビジネス向けパソコンで使われているような パソコンスペックでも普通に動きます。
「小規模の3Dモデリングとはどんなものを作るか?」 というと、例えば、カッターナイフのような製品を設計する程度です。 図だとこんな感じです。
Fusion360のサンプルデータですが、 部品の数も6個なので、私の家にある個人用パソコンでも 問題なく編集することができました。
ちなみに、スペックは 「Corei5 1.9Ghz、8GBメモリ、Intel UHD内蔵グラフィックス」です。
ただし、やはり3D表示が少し遅くなることがあります。 他のアプリと一緒にFusion360を動作した時など、 パソコンの負荷が上がったときが動作が遅くなります。
こういうことも踏まえて、私のおすすめスペックはこんな感じになります。
CPU |
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---|---|
メモリ |
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グラフィックス |
|
このスペックのパソコンを購入しておけば、 中級者になってもすぐにパソコンを買い替えなくても大丈夫、 というスペックです。
中規模以上のモデリングのスペック
Fusion360で中規模以上の3Dモデリングをする場合は、 ゲーミングPCやクリエイターPC、またはワークステーションで よく採用されるスペックがおすすめです。
「中規模の3Dモデリングとはどのような設計か?」というと、 例えば、車全体を3Dモデリングするような感じです。
図で表すと、こんな感じでしょうか。
部品の数は1000個程度あります。 メモリは8GBでも動きますが、読込みや表示までにかなり時間がかかります。
これを踏まえると、おすすめのスペックはこんな感じになります。
CPU |
|
---|---|
メモリ |
|
グラフィックス |
|
中規模以上のスペックでのポイントは、 メモリとCPUでしょう。
私の経験では、 動作が遅くなる要因は、 「メモリ不足」と「CPU性能」だと感じています。
このスペックをワークステーションで採用されているスペックにするか、 ミドルエンドのゲーミングPC程度にすることで かなり快適に動くようになります。
他の3DCADソフトと連携して使う方のパソコン
Fusion360の特長としてあるのが、他の3DCADソフトとの連携です。
Fusion360と連携することの多いソフトを挙げると、 こんな3DCADソフトがあります。
- Inventor
- Alias
- SolidWorks
- Revit
- Maya
特に「Inventor、Alias、SolidWorks」とは連携しやすいように Fusion360からモデルをエクスポートする機能があります。
さて、Fusion360と他の3DCADソフトを連携させて同じパソコンで両方動かす場合は、 推奨スペックの高い方を基準にパソコンを選ぶ必要があります。
つまり、大は小を兼ねるわけです。
ちなみに、Inventor、Alias、SolidWorks、Revit、Mayaの推奨スペックを見てみると、 すべてのソフトがFusion360の推奨スペック以上になっています。
この5つの3DCADソフトとの連携を考えていて、 かつ同じパソコンでFusion360も使うのであれば 必ず連携するソフトの推奨スペックを基準にパソコン選びをすれば 失敗しないでしょう。
Inventor、Alias、SolidWorks、Revit、Mayaには 認定ハードウェアといって、 動作保証をしているグラフィックスまたはパソコンがあるので、 パソコン購入前にはそちらも絶対チェックしてください。
各3DCADソフトウェアの推奨スペックについては、 別のページでまとめていますので、 そちらもあわせてどうぞ見てみてください。
Fusion360おすすめパソコン
3Dモデリングの規模ごとに、 Fusion360おすすめパソコンを紹介していきます。
小規模モデリングにおすすめパソコン
CPUはCorei5、メモリ16GB、SSD 256GBのエントリーモデルのゲーミングPCです。
グラフィックスはGeFroce GTX1650です。
価格は13万円強~です。
HP ENVY x360 13-ay1000 スタンダードモデルG2
CPUはRyzen5、Ryzen7が選択可能です。メモリ8GB~16GB選択可能です。SSD 256GB~1TB選択できます。
グラフィックスはAMD Radeonです。
Ryzen5、メモリ8GB、SSD 256GBのモデルで価格は10万円強~です。 AMDを基調とした価格メリットがあるクリエイターPCです。
CPUはCorei5またはCorei7から選択でき、メモリ16GBです。 SSD 512GBまたは1TBが選択できます。
グラフィックスはNVIDIA GeForce GTX1650です。
価格は Corei5、メモリ16GB、SSD1TB、GeForce RTX3060を選んで、価格は16万円強~です。
CPUはCorei5、メモリ16GB、SSD 512GBのエントリーモデルのゲーミングPCです。
グラフィックスはGeForce GTX1660です。
価格は13万円強~です。
中規模以上のモデリングにおすすめパソコン
CPUはCorei7、メモリ16GB、SSD 512GBのミドルエンドパソコンです。
グラフィックスはT600です。
価格は17万円強です。
HP Pavilion Gaming Desktop TG01-1172jp パフォーマンスエクストラモデル
CPUはCorei7、メモリ16GB、SSD 256~512GBを選択できるミドルエンドパソコンです。
グラフィックスはNVIDIA GeForce RTX 3060 Tiです。
価格は17万円強~です。 キャンペーンをしていることが多く、定価より6~7万円安く購入できます。
CPUはCorei7、メモリ16GB、SSD 512GBのゲーミングPCです。
グラフィックスはGeForce RTX 3060です。
価格は19万円強~です。
CPUはCorei7、メモリ32GB、SSD 512GBのクリエイター向けパソコンです。
グラフィックスはGeForce RTX 3060(GPU 12GB)です。
価格は24万円強~です。
CPUはCorei7、メモリ16GB、SSD512GBのミドルエンドパソコンです。
グラフィックスはNVIDIA T500です。
価格は21万円~です。 HPの人気ワークステンションで売り切れることもあります。
CPUはCorei5、Corei7、Corei9が選択可能、メモリ8~128GBが選べます。 SSDも512GB~2TBが選択可能なミドルエンドパソコンです。
グラフィックスはQuadro T1200 4GB GPUになります。
WEB購入だと常に特別値引きをしているのが嬉しいところです。
Corei7、メモリ16GB、SSD256GB、Quadro T1200選択で 価格は25万円強~です。
CPUはCorei7、メモリ16GB、SSD 512GBのクリエイター向けノートパソコンです。
グラフィックスはNVIDIA GeForce RTX 3060です。
価格は21万円強~です。
HP ENVY 15-ep1000 パフォーマンスモデルG2
CPUはCorei7、メモリ16GB~32GBを選択でき、SSD 1TBのクリエイター向けノートパソコンです。
グラフィックスはNVIDIA GeForce RTX 3050です。
価格は23万円強~です。 クリエイター向けの人気機種で、売り切れることが多々あります。
CPUはRyzen7、メモリ16GB、SSD 1TBのゲーミングノートパソコンです。
グラフィックスはGeForce RTX 3060です。
価格は18万円強~です。
Macの推奨スペックとおすすめパソコン
Fusion360はMacにも対応しています。
CPU |
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---|---|
メモリ |
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グラフィックス |
|
ただし、MacのM1チップが搭載されているパソコンでは、 Rosetta2をインストールしないと正常に動かない場合があります。
認定ハードウェアも少しづつ増えていて、 Apple M1チップのグラフィックスで動作確認されています。
認定ハードウェアの詳しい情報は、 Autodesk公式サイトに載っています。
認定グラフィックス ハードウェア・Autodesk公式サイト
2092年2月現在、 「Mac OSX 12」で「Apple M1 8コア」が認定ハードウェアとしてあり、 動作確認済みです。
Macのおすすめパソコン
MacBookPro「メモリ16GB、Apple M1Proチップ、SSD 1TB、14インチ」モデルです。
2020 Apple MacBook Air ノートパソコン
MacBookAir「メモリ8GB、Apple M1チップ、SSD 256GB、13インチ」モデルです。 M1 8コアなので認定グラフィックスに入っています。
まとめ
「Fusion360の推奨スペックはコレ!失敗しないパソコンの選び方」 についてのまとめです。
Fusion360は比較的低いスペックのパソコンでも動作する。
Fusion360はユーザー層が広いので、 自分の目的に合ったパソコンを選択することが必要。
CPUは3Dモデリングであれば一般的なビジネスパソコンで使われている 程度の性能でも問題ない。 CAMや構造解析まで考えている方は、できるだけ高いクロック数のCPUがおすすめ。
メモリは3Dモデリングの規模によって変えるのがおすすめ。
グラフィックスはCPU内蔵グラフィックスでも動くが、 先々のことを考えてエントリーモデル以上の専用グラフィックスを選ぶのがおすすめ。
小規模3Dモデリングをする場合は、 エントリーモデルのゲーミングPC程度のスペックがおすすめ。
中規模以上の3Dモデリングをする場合は、 ミドルエンドのワークステーション、ゲーミングPC程度のスペックがおすすめ。
Inventor、Alias、SolidWorks、Revit、Mayaと連携するならば、 この5つの3DCADソフトの推奨スペックのパソコンを購入する。 理由はFusion360の方が推奨スペックが低いため。
MacはMacBookProがおすすめ。
おまけ・Fusion360は3Dプリンタとの連携がシームレスな件
私の同僚が会社でFusion360を好んで使っています。 その理由は「3Dプリンタとの連携がしやすいから」らしいのです。
通常、3Dプリンタに形状データを持っていくときは STL形式でデータのやり取りをします。
このSTLデータは汎用フォーマットなので、 ほぼすべての3DCADソフトで出力ができます。
じゃあ、Fusion360でなくてもいいのでは?と思いますが、 他の3DCADだとSTLを3Dプリンタに持っていきプリントアウトすると 崩れてしまうことがけっこうあるのだとか。
Fusion360はここら辺をうまく調整してくれて、 崩れない形状のデータでSTL出力してくれるのですね。
Fusion360と3Dプリンタの連携がいい!という理由は、 ここにあったりします。
最後に・・・
3DCADパソコンを探しているという向けに おすすめのパソコンも紹介しています。
よければそちらものぞいてみてください。
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