VRパソコンのスペック解説!失敗しないパソコン選び

VRパソコンに必要なスペックを解説

VRパソコンのスペック解説、失敗しないパソコン選び

こんなことが知りたい

VRゲームに最適なパソコンのスペックは?

VR研究開発に最適なパソコンのスペックは?

ここでは、 VR向けのパソコンを検討している方に向けて 「VRで使うパソコンのスペックの目安」 について解説しています。

「個人でVRゲームをする場合のスペックは?」 「ソーシャルVRはどのようなスペックが最適?」 「研究開発向けVRシステムにはどのようなパソコンが向いている?」 「CPU、メモリ、グラフィックボードの選び方は?」 と、パソコン選びで悩みがちなことをピックアップして 解説していきます。

あなたのパソコン選びの参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

自分
さくら

  • 3DCADサポートエンジニア
  • サポート歴7年
  • Autodeskとダッソー製品のカスタマーサポートに従事
  • 2022年からVR部署の管理職
  • 法人向けVRを扱う

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目次

VRゲーム向けパソコンのスペック

VRといえば、VRゴーグルを使ったゲームが最も人気です。

さて、 「VRゲームをするうえで、 どの程度のスペックが必要なのか?」ですが、 基本的にPCゲームができる程度のスペックが必要になります。

CPU、メモリ、グラフィックボードのスペックの目安は、 次の表のとおりです。

VRゲームのスペック目安

CPU
  • Corei5
  • Ryzen5
メモリ
  • 16GB
グラフィックス
  • NVIDIA GeForce GTX 16シリーズ
  • NVIDIA GeForce RTX 40シリーズ
  • AMD Radeon RX6000シリーズ
GPUメモリ6GB

このスペックを満たすパソコンには、 「ゲーミングPC」もしくは 「クリエイターパソコン」があります。 VRゲームをするときには、 必ず専用のグラフィックボードが必要ですが、 そのグラフィックボードを搭載しているのがゲーミングPCとクリエイターパソコンなのです。

このスペック以上のパソコンであれば、 たいていのVRゲームは快適にプレイすることができます。

VRゲームを販売している 「Steam」 というサービスでは、 ソフトごとに推奨スペックが載っています。

その推奨スペックを見ると、 VRゲームは ローエンドからミドルエンドのゲーミングPC、 クリエイターパソコンで 快適にプレイすることができます。

また、Meta Questユーザーがよく使う Meta Store で販売されているVRゲームも 上の表のスペックで十分に快適にプレイができます。

Meta Questは、 基本的にパソコンと接続せずにプレイできるゲームが主流なので、 そこまでハイスペックなパソコンは必要ない傾向にあります。

さて、CPU、メモリ、グラフィックボードについて、 もう少し詳しく説明していきます。

CPUのスペック

CPUは、VRゴーグルにゲーム映像を高速に転送する役割があるため、 ハイスペックになるほど快適になります。

具体的なCPUのスペックは、 最低限Corei5、Ryzen5が必要になります。

その理由は 「VRでシェア率が高いMeta QuestやHTC VIVEの推奨スペックが Corei5またはRyzen5以上になっているため」 です。

例えば、HTC VIVEはHTCの公式サイトに載っている推奨動作環境が このCPUスペックになっています。 このスペック以上であれば動作するという指標です。

同じくMeta QuestもMeta公式サイトに パソコン接続時の推奨スペックが載っています。

Meta Questに関しては、 最低スペックがCorei5、Ryzen5であり、 推奨はCorei7、Ryzen7になります。

Meta Quest Linkを使用するための要件

推奨コンピュータースペック・HTC公式

このように、VRで最も使われているMeta QuestとHTC VIVEが Corei5またはRyzen5以上を推奨しています。

メモリのスペック

続いてメモリのスペックですが、 VRゲームにおいて、高精細な3DCGが使われているゲームほど メモリの容量が必要になります。

高精細な3DCGとは「3DCGの滑らかさ」をあらわしていて、 ポリゴン数の多い、きめ細かなキャラクターや 背景が使われているゲームのことです。

メモリのスペックですが、 ゲームによっては必要最低限のメモリは8GBの場合が多いです。 しかし、私のおすすめは16GBのメモリ容量を推奨します。

その理由は 「高精細でキレイな3DCGを扱うVRゲームが増えているから」 です。

例えば、VRゲームでロングセラーの 「BeatSaber」 のような、VR音楽ゲームはそこまで高精細な3DCGは使っていません。 そのため、メモリの推奨スペックも8GB以上になっています。

しかし、リリース日が新しい人気アクションゲームである 「Half-Life: Alyx」 や 「レジェンダリーテイルズ」 は、 高精細な3DCGを使っているため、推奨メモリ容量が多いのが特徴です。 Half-Life: Alyxの推奨メモリスペックは12GB以上、 レジェンダリーテイルズは16GB以上になっています。

こういう理由から メモリは16GB以上がおすすめです。

グラフィックボードのスペック

VRゲームでは、 高精細な3DCGが使われているゲームをするときに グラフィックボードのスペックが重要になってきます。

VRゴーグル単体でできるVRゲームをプレイするときは、 グラフィックボードのスペックは高くなくても問題になりません。 しかし、パソコン接続を推奨しているVRゲームでは、 グラフィックボードのスペックが重要になります。

グラフィックボードは、 高精細な3DCGを高速に表示する役割があるため、 スペックが不足していると表示が遅くなったり カクカクした動きになります。

さて、 VRゲームでのグラフィックボードのスペック目安ですが、 GPUメモリが6GB以上のグラフィックボードがおすすめです。

理由は、 「高精細でキレイな3DCGを扱うVRゲームの推奨スペックが 主にGPUメモリ6GB以上になっていることが多いため」 です。

例えば、Half-Life: Alyxでは、 NVIDIA GTX1060以上の6GB以上のGPUメモリが推奨されています。 レジェンダリーテイルズでは、 NVIDIA RTX2080以上のグラフィックボードが推奨されています。 NVIDIA RTX2080はGPUメモリが8GBです。

このような理由からも GPUメモリが6GB以上のグラフィックボードをおすすめしています。

ソーシャルVR向けパソコンのスペック

VRで常に一定の人気を保っているのが「ソーシャルVR」です。 仮想空間のなかでコミュニティが作れるサービスで、 3Dアバターを通じて人とコミュニケーションが取れるアプリです。

ソーシャルVRを快適に楽しむためのパソコンスペックは、 コミュニティの規模によってスペックが少し変わります。

目安としては、 10人程度の小規模コミュニティと それ以上の中規模以上のコミュニティでスペックを分けました。

スペックの目安としては、 つぎの表のようになります。

少人数コミュニティのスペック目安

CPU
  • Corei5
  • Ryzen5
メモリ
  • 16GB
グラフィックス
  • NVIDIA GeForce GTX 16シリーズ
  • NVIDIA GeForce RTX 40シリーズ
  • AMD Radeon RX6000シリーズ
GPUメモリ6GB

大人数コミュニティのスペック目安

CPU
  • Corei7
  • Ryzen7
メモリ
  • 32GB
グラフィックス
  • NVIDIA GeForce RTX 40シリーズ
  • AMD Radeon RX6000シリーズ
  • AMD Radeon RX7000シリーズ
GPUメモリ8GB

ソーシャルVRもVRゲームと同様に 「ゲーミングPC」もしくは 「クリエイターパソコン」が適当です。

少人数のコミュニティでは、 15万円~20万円程度のミドルエンドのゲーミングPCが最適です。

大人数のコミュニティでは、 ハイエンドと呼ばれるゲーミングPCもしくは、 クリエイターパソコンが最適です。

CPUのスペック

コミュニティに参加している人数が多くなるほど 高性能なCPUが必要になります。

参加人数が多いと表示する3Dアバターの数も増えます。 3Dアバターが増えることで3D画面で表示するポリゴン数も増えてきます。 その膨大な3D情報を高速にVRゴーグルへ転送するためには ハイスペックなCPUが必須になります。

高速に3D表示をするためには高性能なグラフィックボードが必要ですが、 その3D情報をVRゴーグルに転送するのにCPUが活躍しているのです。

そのため、 バランス良く、 グラフィックボードとCPUのスペックを選択する必要があります。

メモリのスペック

ソーシャルVRでは、 参加人数が増えるほど3Dポリゴン数が増えます。 ポリゴン数が増えるほどメモリ容量も必要になってきます。

そのため、 ソーシャルVR上での 「企業のイベント」や 「ライブイベント」のような大人数が参加するコミュニティでは、 最低でも16GB以上のメモリがおすすめです。

例えば、 有名アーティストのVRライブでは 参加者が100人以上になることもあります。

そのときにメモリ容量が不足すると 3D表示の一部分が消えてしまったり、 アプリによってはフリーズして動かなくなることもあります。

これを避けるためにも 最低でも16GB以上のメモリがおすすめです。

グラフィックボードのスペック

グラフィックボードのスペックは、 コミュニティの参加人数が多くなるほど GPUメモリの容量が重要になってきます。

ポリゴン数が多くなると一度に処理する3Dデータが多くなるため、 多くのGPUメモリが必要になります。

目安のスペックとしては、 最低でも6GB以上で、 推奨は8GB以上のGPUメモリが搭載されたグラフィックボードがいいでしょう。

例えば、 VRChatやclusterといったソーシャルVRで 10人程度の小さなコミュニティを中心にプレイしたい場合は 6GBのGPUがあるグラフィックボードでも快適に遊べるでしょう。

しかし、 ライブイベントや企業の特設サイトでは参加人数も多くなるため、 GPUが8GB以上のグラフィックボードがおすすめです。

このように 参加する人数によって、 グラフィックボードのスペックを検討するのがおすすめです。

VRChatの推奨スペックについては、 別のページでまとめていますので、 興味があれば、合わせてご覧ください。

VRChatのおすすめPCはコレ!推奨スペックを解説

VR研究向けパソコンのスペック

産業用VR

ここまでは、一般消費者向けのVRコンテンツを楽しむうえで 必要なパソコンのスペックを解説してきました。

VRは産業用途や 教育用途でも使われるため、 研究開発で取り上げられることも多いです。

じっさい、私自身も産業向けのVRシステムを扱っている会社で働いていて、 国や大学の研究成果をVRシステムに組み込んで 製品として販売しています。

例えば、 工場での製品組み立てのトレーニングシステムとして VRが使われているところもあります。

有名なところではロールスロイス社のVRトレーニングがあります。

3DCADで作られた3Dモデルの部品をVR空間上に配置して、 コントローラーを使って組み立てていきます。

このように、 産業用途や研究開発で使われるVRでは、 リアルタイム性が求められるため、 パソコンも「業務用のワークステーション」 がよく選ばれます。

さて、研究向けのパソコンのスペックの目安は、 つぎの表のとおりです。

VR研究向けパソコンのスペック目安

CPU
  • Corei7
  • Corei9
  • Ryzen7
  • Ryzen9
メモリ
  • 32GB
グラフィックス
  • NVIDIA RTX Aシリーズ
  • NVIDIA RTX Adaシリーズ
  • NVIDIA GeForce RTX 40シリーズ
  • AMD RadeonPro シリーズ

この表のCPU、メモリ、グラフィックボードは ワークステーションでよく採用されるスペックです。

普通のパソコンとワークステーションの違い は、基本的に安定性と信頼性が違います。 使っているパーツが違うため長時間負荷をかけ続けても安定して動きます。

VRのスペックを考慮した 具体的なワークステーションについても 別のページで紹介していますので、 興味があれば合わせてご覧ください。

処理速度が一気にあがる!おすすめワークステーション

CPUのスペック

研究用途で使うCPUは、 使用するアプリケーションによってスペックを選ぶのがいいでしょう。

リアルタイム性を高めるために 並列処理を多く組み込んだアプリケーションを使うならば、 コア数の多いCPUが有効です。

3D表示が中心のコンテンツを含んだアプリケーションには、 並列処理はグラフィックボードに任せているので、 クロック数の高いCPUが有効になることが多いです。

あなた自身が使うソフトの特性に合わせて CPUのスペックを選ぶのがおすすめです。

メモリのスペック

メモリは大容量を選ぶのがおすすめです。

その理由としては、 VRコンテンツで使われる3Dモデルはポリゴン数が多いことがあるためです。 特に3DCADを使っているコンテンツは、 複雑な形状をしていることが多く、 メモリを多く消費する傾向にあります。

例えば、 3DCGを使ったゲームでは、 一般的にポリゴン数を減らして製品化することが多いです。 しかし、3DCADは形状をできるだけ精密に再現するため、 容量が大きくなることが多いのです。

産業用のVRでは、 このようなデータ量の多い3DCADを使うことも多いため、 メモリの要求スペックも高くなることがあります。

こういう理由からも メモリは大容量がおすすめです。

グラフィックボードのスペック

VRゲームやソーシャルVR向けのパソコンと 大きく違うのがグラフィックボードのスペックです。

VR研究向けのグラフィックボードは、 業務用のNVIDIA RTXまたは、AMD RadeonProがおすすめです。

その理由は、 「VR研究開発で使われるソフトが動作確認済みのことが多いから」 です。

例えば、 NVIDIA RTXまたは、AMD RadeonProが使われている HPやDELLのワークステーションでは、 エンジニアがよく使うソフトの動作確認が行われています。

具体的にはVR開発でよく使われるUnity3DやUnrealEngineは HP、DELLのワークステーションの多くで動作確認をしています。 つまり、不具合も少なく、安定して動くようになっています。

UnityやUnrealEngineのような開発ソフトだけではなく、 主要な3DCADや3DCG、CAEといった エンジニアによく使われているソフトの多くが 動作確認が行われているのです。

ゲーム用途向けのGeForceやRadeonと比べると 同スペックで価格が高くなりがちですが、 「安定性」と「信頼性」が価格に反映されていると思ってください。

こういう理由からも NVIDIA RTXまたは、AMD RadeonProをおすすめしています。

ノートパソコンとデスクトップ

ノートパソコンとデスクトップパソコンは どちらがいいのか とても悩みどころです。

私のおすすめとしては、 VR向けのパソコンは、 デスクトップパソコンを推奨しています。

その理由は 「デスクトップパソコンのほうが性能が高いから」 です。

例えば、 CPUとグラフィックボードの性能を比べてみると、 同じブランドでもデスクトップ向けパーツの方が 性能が高くなります。

ノートパソコン向けGeForce4070 Laptopと デスクトップ向けGeForce4070では、 GPUメモリの容量がデスクトップ向けの方が多くなります。

CPUも同じCorei7でも デスクトップ向けの方が処理速度が速くなります。

これは、ノートパソコン向けパーツは小型化しているため 性能が少し犠牲になっているためです。

また、価格もノートパソコンの方が高くなりがちです。 同じ20万円のパソコンであれば、 圧倒的にデスクトップパソコンの方がスペックが高いものを買えます。

こういう理由からも デスクトップパソコンをおすすめしています。

ちなみに、デスクトップを選ぶときに 気をつけたいことですが、 「無線LAN」のボードもしくは受信機を用意しておくのがおすすめです。

VRゲームやソーシャルVRでは、 無線LANでVRゴーグルと接続して プレイすることもできます。

一般的にノートパソコンは無線LANが内蔵されていることが多いですが、 デスクトップは無線LANがほぼ内蔵されていません。

そのため、 別途、あなた自身が準備する必要があります。

Meta Questを無線接続するときには、 5GHz帯の無線LANが推奨されているので その仕様に合った無線LAN受信機を購入する必要があります。

私のVR部署のパソコン事情

最後に、私の会社で使っているVR向けパソコンについて 少し話していきます。

私は企業向けのVRシステムを販売サポートしている部署で働いていますが、 基本的に使っているのは「ワークステーション」です。

ワークステーションは ゲーミングPCやクリエイターパソコンと比べると 価格が高い割にはパフォーマンスが ゲーミングPCとそこまで変わらないことがあります。

例えば、 NVIDIA RTX Adaシリーズのグラフィックボードが付いたワークステーションと GeForce RTX4080が載っているゲーミングPCでは 価格差が10万以上ありますが、 処理速度でいったら体感的に1割~2割の差といってもいいでしょう。

しかし、ワークステーションは保証が充実しているため 研究開発や企業で使うにはかなりメリットがあるのです。

例えば、 即日訪問サポートで修理をしてくれたり、 3年間の無償パーツ保証があって、 高価な部品も無償で交換してくれたりするのが大きなメリットになっています。

こういう 開発や保守を伴うようなVRシステムを扱うならば、 ワークステーション一択だと個人的に思っています。

また、企業向けのVRシステムは基本的に有線接続です。 そのため、ノートパソコンは選びません。 ノートパソコンで有線接続をすると 接続ケーブルが引っ張られて、パソコンが落下してしまうことがあります。

VRの被験者はケーブルを意識しないでコンテンツを体験するので、 意外に動きが大きくなり、 ケーブルを引っ張ってしまうことが多いのです。

そのため、できるだけ自重があるデスクトップを選ぶのが 私たちのルールになっていたりします。

あと、モーションキャプチャーと連携することも多いため、 ワークステーションがよく使われます。

モーションキャプチャーは基本的に OpenGL系の3D描画になっているソフトが多いため、 OpenGLが得意なNVIDIA RTXが搭載されている ワークステーションを選びます。

モーションキャプチャーを制御するソフトと VRコンテンツを流すソフトは、 基本的に同じパソコン内で起動することが多いので、 両方に都合のいいワークステーションを選ぶわけです。

まとめ

「VRパソコンのスペック解説!失敗しないパソコン選び」 についてのまとめです。

VRゲーム、ソーシャルVRでは ゲーミングPCとクリエイターパソコンが 適当なスペックを選べる機種が多いためおすすめ。

ソーシャルVRでは 参加するコミュニティの規模によって スペックを変更する必要がある。

VR研究開発や産業向けVRシステム向けのパソコンは、 業務用グラフィックボードを採用している ワークステーションが向いている。

デスクトップパソコンと ノートパソコンでは、 同じ価格でも性能の高くなるデスクトップの方が コスパが高くておすすめ。

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