建築CADに最適なパソコンスペックを解説
こんなことが知りたい
建築CADパソコンはどのようなスペックが必要?
CPU、メモリ、グラフィックスのスペックは?
ここでは、 建築CAD向けのパソコンを検討している方に向けて、 「建築向けCADに最適なパソコンのスペック」を 設計規模の目安とともに解説しています。
「平面図、立面図の2DCADに最適なスペックは?」 「3Dモデリングに最適なスペックは?」 「BIMや大規模設計に最適なスペックは?」 と、パソコン選びで悩みがちな スペックの疑問を取り上げ、 初心者向けに丁寧に説明していきます。
あなたのパソコン選びのお手伝いができれば幸いです。
目次
2D、3D、BIMのパソコンスペック目安
建築CADと一言でいっても、 その設計方法にはいくつかあります。
私が仕事でサポートしていたものをピックアップすると、 主につぎの3つが挙げられます。
- 平面図・立面図の2D設計
- 3Dモデリング
- BIM・大規模な3D設計
この3つの用途では、 それぞれパソコンのスペックもかなり変わってきます。
この3つの用途別に、建築CADパソコンで重要な 「CPU」「メモリ」「グラフィックス」のスペックを表にしてみました。
平面・立面図の2D設計 | 3Dモデリング | BIM・大規模な3D設計 | |
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CPU |
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メモリ | 8GB | 16GB | 32GB以上 |
グラフィックス |
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使用するCADソフトでも多少スペック内容が変わってきますので、 おおよその目安として考えてもらえればうれしいです。
ここからは、 用途別のスペック目安について、 もう少し詳しく説明していきます。
平面図、立面図の設計のスペック
建築CADで必ず作業することと言えば、 平面図や立面図といった2Dによる図面設計です。
具体的には、 下の画像のようなものを作成していきます。
AutoCAD、Jw_cad、Vectorworks、IJCADといった 2D機能が充実している建築CADを使って、 図面作成をする方も多いでしょう。
この2Dの機能をメインで使う場合のパソコンは、 一般的なオフィス業務で使われるパソコンのスペックとほぼ同等 と考えていいでしょう。
CPUは中程度の性能が必要です。 グラフィックスはCPU内蔵グラフィックスでも ほぼ問題ありません。
CPU内蔵グラフィックスには、 インテルUHDグラフィックス、 インテルIrisXeグラフィックス、 AMD APU内蔵Radeonなどがあります。
ただ、AutoCADやVectorworksなどで3Dの立体表示を見ながら 図面を修正していくことがあります。 2Dの図面を修正すると、リアルタイムで立体表示を更新してくれるような機能です。 そのときはNVIDIAやAMDのグラフィックスがあると快適に動きます。
2DCAD機能が充実しているソフトで、 よく建築分野で使われているJw_cad、IJCAD、DRA-CADのスペックについては、 下のページで解説しています。
3Dモデリングのスペック
続いて、3Dモデリングで設計する場合のパソコンスペックです。
3D設計は、主には下の図のようなものを 3Dビュー上で確認しながら設計していきます。
内装、外装ともに3Dで設計します。 建築CADでは基本的に3Dモデリングだけということはなく、 2D図面と一緒に設計していく形になります。
3Dモデリングでは、 光の加減や材質の質感を確かめながら、 3Dオブジェクトを形作ったり、 配置していきます。 また、それらオブジェクトは、 リアルタイムで編集して3D表示することが多いため、 ハイスペックなパソコンが必要になります。
3Dモデリングでは、 CPU、メモリ、グラフィックスのスペックがバランスよく すべて高性能である必要があります。 ひとつでも低い性能のパーツがあると、 それがネックで快適に動かないことがあります。
この3D設計をするための 建築CADに向いているパソコンには、 「クリエイターパソコン」もしくは 「ワークステーション」があります。
主な購入先には、 各パソコンメーカーのWEBサイトがおすすめです。 パソコンメーカーのサイトで販売されている クリエイターパソコン、ワークステーションは、 ある程度カスタマイズができるため、 予算内におさめやすく、さらに適切なスペックを選べます。
ちなみに、家電量販店で売っているパソコンには、 3D表示が得意なグラフィックスが入っていないことが多いため、 パソコン選びでは注意が必要です。
CPUはクロック数ができるだけ速いスペックを選ぶのがいいでしょう。 予算が許せば3GHz以上がおすすめです。 予算が足りなければ、できる限り2GHz帯の速いものを選びます。
グラフィックボードは、 NVIDIA、AMDの専用グラフィックスが推奨です。 設計規模によってグレードを選ぶ必要がありますが、 中小規模の3Dモデリングではローエンドのグラフィックスで十分です。
ゲーム用グラフィックスであるGeForce、Radeonは、 用途によって検討が必要です。 仕事用であればエンジニア向けグラフィックボードの NVIDIA RTXシリーズ、Tシリーズ、AMD RadeonProシリーズが必須です。 学生が大学の授業で使うのであれば GeForce、Radeonの方が低予算で買えるのでおすすめです。
3D設計向けのパソコンスペックについては 「3DCADパソコンのスペック解説!失敗しないパソコン選び」 で詳しく説明しています。
学生向けの3DCAD向けパソコンについては、 下のページで説明していますので、 興味があれば、合わせてご覧ください。
BIM、大規模設計のスペック
続いては、 大規模な3D設計や、 BIMを使う場合のパソコンスペックについてです。
大規模な設計とは、 例えば、下の図のような商業施設や集合住宅の設計などに使う場合です。
3DCADを使って大規模な設計を行う場合は、 ハイエンドのクリエイターパソコンもしくは、 ワークステーションが最適です。
基本的にCPU、メモリ、グラフィックボードはすべて ハイエンドのパーツにしないと、 設計時に操作性が悪くなり効率的にモデリングすることが難しいです。
大規模な設計でおすすめの 具体的なパソコンについては、 「処理速度が一気にあがる!おすすめワークステーション」 で解説しています。
また、商業施設や病院、商用向けのビルを設計するときは、 「BIM」の機能を持った3DCADで設計管理していくことが通例です。
BIMも大規模な設計と同じように、 ハイエンドのクリエイターパソコンもしくは、 ワークステーションが推奨です。
このような大規模な設計では、 要素数が多くなり、 ソフト全体の処理速度をあげるために高性能CPUが必要になります。 また、高速に大量の要素を3D描画するために 高性能グラフィックスが必要になります。
メモリも大容量にしないと、 スペック不足になることがあります。 スペックが足りないと、 スワップという現象が起きて画面がカクカクした動作になり、 作業効率が著しく悪くなります。
ちなみにスワップとは、 メモリの不足分をストレージで補うことを言います。 ストレージはメモリと比べると速度が遅いので、 急激にパソコン全体の動作が遅くなるのです。
CPUはハイエンドのCorei7、Ryzen7以上が最適です。 予算があればCorei9、Ryzen9、Xeonを選ぶのがいいでしょう。
メモリは3DCADソフトにもよりますが、 32GB以上が選ばれやすいです。
グラフィックボードはNVIDIA RTX、T、AMD RadeonPro、インテルArcProが最適です。 このグラフィックボードは主要な3DCADやBIMを動作保証していることが多く、 安定性にも定評があります。
BIMにおすすめの具体的なパソコンについては、 「BIMのおすすめパソコン12選」 で説明しています。
建築CADソフト別のスペック
建築で使われているCADソフトごとに 若干、スペックが違います。
また、2DCADと3DCADでは、 推奨されるスペックが異なるので、 パソコン購入前にしっかり把握することが重要です。
主要な建築CADの推奨スペックについても 他のページで解説しています、 使う予定のある建築CADがあれば、 合わせて参考にしていただけるとうれしいです。
Archicadの推奨スペックはコレ!失敗しないパソコンの選び方
SketchUpProおすすめパソコン!推奨スペック解説と選び方
まとめ
「初心者向け!建築CADパソコンのスペック目安」についてのまとめです。
建築CADは主に3つの用途で使われることが多い。
「図面による2D設計」「3Dモデリングによる設計」 「BIMなどの大規模施設の設計」
2D設計では、会社などで一般業務で使われるパソコンのスペックで 十分なことが多い。
3Dモデリングによる設計では、 ワークステーションがおすすめ。
エントリーモデルのワークステーションでもかなり快適に動作することが多い。
大規模施設の設計では業務用ワークステーションが必須。
CPU、グラフィックスはハイエンドモデルを選ばないと、 快適に動かないことも多い。
大規模設計は要素数が多くなるので、メモリは大容量が必須。