MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーションで基礎を勉強してみた

MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーションで学習できる内容を解説

MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーションで基礎を勉強してみた

こんなことが知りたい

「MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーション」で何が学べる?

初心者にとってわかりやすい本?

ここでは、MotionBuilderユーザー向けに 「MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーション」で学べる事を解説しています。

「どのような内容なのか?」 「初心者に向いているのか?」 をできるだけわかりやすく説明します。

あなたのMotionBuilder学習のお手伝いができればうれしいです。

この記事を書いた人

自分
さくら

  • 3DCADサポートエンジニア
  • サポート歴7年
  • Autodeskとダッソー製品のカスタマーサポートに従事

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目次

こんなことが学べます

MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーション

MotionBuilderは学習するための教材が極端に少ないため、 日本語で書かれた 「MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーション」 はとても有益です。

「MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーション」で 学べることは大きく分けると、つぎの3つになります。

  • アニメーションの基礎とノウハウ
  • MotionBuilderの基本操作
  • ストーリー作成の流れ

まずはMotionBuilderに触れる前に 「アニメーションの基礎」が書かれています。 具体的には人が動くときにどのような姿勢になるか や、キーフレームの基礎知識が書かれています。

つぎにMotionBuilderの基本操作方法が書かれています。 基本的には「手付けのアニメーション」を作るときに必要な機能を 説明しています。

じっさいに歩行動作を作りながら MotionBuilderの機能を使用して アニメーションを作成していきます。

そして、最後にストーリーを作成する練習をします。 簡易的な3DCGモデルを使ってアニメーションを作り、 最終的な作品のイメージを伝えるための動画を作ります。 専門的な用語で「プリビズ」と呼ばれるものです。

おおまかにこのようなことが書かれている入門書です。

逆に書かれていないことは次のようなことです。

MotionBuilderで何ができるのか? といったような「MotionBuilder全体の概要」は書かれていません。

基本的には「手付けのアニメーション」をするための機能や 作ったアニメーションを使って ストーリーを作っていくことに注力して書かれています。

また、 モーションキャプチャーデータを使ったアニメーション作成 についても書かれていません。

この本が出版された2011年では、 個人でモーションキャプチャーデータを手に入れるのが難しい時代だったため その説明が省かれています。

ここからは、 具体的にどのようなことが書かれていて、 どのようなことが学習できるのかを説明していきます。

準備するもの

「MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーション」 を使い MotionBuilderの独学 をするにあたって、必要になるものは「MotionBuilder」と「パソコン」です。

MotionBuilderはAutodesk公式サイトから購入できます。 1カ月単位のサブスクから購入できるのですが、 無料お試し期間が30日あるのでそちらを試すのもおすすめです。

全く3DCGに触れたことがない場合は 毎日1時間学習しても30日間では この本の内容を習得するのはむずかしいかもしれません。

ただ、何かしら3DCGを触ったことがある場合は、 30日間あればこの本に書かれているスキルを おおまかに習得することはできると感じています。

もしくはこれから本気でアニメーターを目指すために MotionBuilderを習得しようと考えている場合は、 1年間のサブスクを購入したほうが安くなる場合もあります。

MotionBuilderのライセンスの割引率などについては 別のページで紹介していますので、 興味があればあわせてご覧ください。

MotionBuilderの価格を解説!お得に買うならこのプラン

パソコンに関しては、 一般的に 3DCGを動かすことができるスペックのパソコン が必要になります。 ざっくり言うと20万円前後のNVIDIAもしくはAMDのグラフィックスが付いている ゲーミングPCもしくは、クリエイターパソコンがおすすめです。

アニメーションの基礎

第一章では、MotionBuilderは使わずに アニメーションの原理についてと、 どのような画をつなげることで人らしい動きになるかを 挿絵とともに説明しています。

例えば、 人はどのような姿勢を取りながら動きができてくるのか、 を連続したイラストで説明しています。

下の画像のように 人がお辞儀をしたときに 体幹はどのようにバランスを取っているのか、などが例に挙げられています。 人は腰だけを曲げるのではなく、おしりも後ろに突き出て 重心を真ん中にしてバランスを取っているような動きになっています。

お辞儀をした画像

これらの動きを表すうえで重要な姿勢をキーフレームとして打ち込むことで アニメーションができていくのですが、 そのような基礎知識を初心者でもわかりやすく丁寧に解説しています。

3Dモデルの基礎

第二章では、3DCGモデルのキャラクター構造と キャラクターの姿勢を作るときのIKとFKについて解説しています。

3DCGキャラクター構造については、 キャラクターの骨にあたる「スケルトン」と ポリゴンが連想して動く「スキニング」についての説明があります。

例えば、 3DCGキャラクターの外側はポリゴンになっていて、 中にはスケルトンと呼ばれる骨の構造が定義されています。 スケルトンとポリゴンを関連付けることで スケルトンの動きに追従してポリゴンが動きます。 この関連付けのことをスキニングと呼びます。

イメージ的には下の図のような感じになります。

スケルトンとスキニング

この章では、このキャラクター構造について より詳しく説明しています。

また、キャラクターの姿勢を作るときに使う IKとFKに ついての説明もあります。

例えば、 下の図のように IKは手を引っ張ることで他のスケルトンが動き、 姿勢を推定してくれる機能です。

IKによる姿勢の編集

IKとFKがどのような特性を持っていて、 どのような使い方をすればアニメーション作成に活かせるかを 丁寧に説明しています。

MotionBuilder基本操作

第三章ではじっさいにMotionBuilderを動かして 基本操作を学習していきます。

MotionBuilderのバージョンは「MotionBuilder2012」を使っていますが、 2012より新しいバージョンでもユーザーインターフェースはあまり変わっていないため ほとんど違和感なく学習することができます。 私が使っているバージョンはMotionBuilder2024でしたが、 特に問題なく学習できました。

MotionBuilderオープニング画面

新しいバージョンのほうがいろいろ機能が追加されているため 若干ウィンドウが多いのですが、 基本的に使う機能のウィンドウはMotionBuilder2012とほぼかわらないので 特に迷うことなく学習できます。

MotionBuilderの作業フロー

まずはMotionBuilderの作業フローの説明です。 おおまかな流れは5ステップあります。

  1. キャラクターの読込み
  2. コントロールリグの設定
  3. アニメーションをつける
  4. アニメーションのスケルトンへの焼き込み
  5. ファイル出力

まずはキャラクターを読込みます。 そのキャラクターに対して「コントロールリグ」という アニメーション作成に使う機能を設定します。

それらコントロールリグをIK、FK機能を使って動かしながら アニメーションをつけていきます。

アニメーションが完成したら コントロールリグの動きをすべてスケルトンに焼き込みをします。 これは、他の3DCGソフトでもキャラクターが動くようにするためです。 そして他の3DCGソフトでも読込めるファイル形式に保存します。

基本的にMotionBuilderは他の3DCGソフトと連携することが多いです。 例えば、よくあるのは MayaとMotionBuilderを連携しながら アニメーションを作っていきます。 そのため、MotionBuilderでは、このような作業フローになることが多いです。

キャラクタライズ

MotionBuilderでキャラクターを動かすための設定に 「キャラクタライズ」という機能があります。

人の主要な関節とキャラクターのスケルトンの関節を対応付けて、 IKFKをするためのコントロールリグを作る作業です。

例えば、 キャラクターの腰、体幹、肩、肘、膝、足首は スケルトンのどの部分にあたるのかを 3Dビューを見ながら対応付けしていきます。

MotionBuilderのキャラクタライズ

この対応付けをすると、 IKFKをするためのコントロールリグを作成できますが、 そこまでの手順を丁寧に画像付きで説明しています。

姿勢決めとキーフレーム

コントロールリグまで作ったら、 キャラクターの姿勢を動かす方法と、 それをキーフレームに登録する方法を説明しています。

じっさいに操作をしながら IKとFKの設定方法と、動きの違いについて確認できます。 また、FCurvesという軌跡グラフ機能の使い方も確認できます。

IKFKの軌跡表示

じっさいに手を動かしてアニメーションをつけるので IKとFKの動きの違いがよくわかります。

歩行アニメーション

第4章では じっさいに歩行の動作を作りながら MotionBuilderのよく使う機能を習得していきます。

歩行はアニメーションの基礎なので、 まずは「人が歩く時に重要になってくる姿勢」を学びます。 具体的にはかかとを付いてから片方の脚に体重を乗せて、 反対側のかかとが着くまでの動きを解説しています。

歩行のアニメーション

これをキーフレームを追加しながら IKFKを使いながらキャラクターの姿勢を整えていきます。

片側の歩行動作ができたら、 「ポーズのミラー」機能を使って もう片方側の歩行動作を作っていきます。

本では右側の歩行動作を作成後、 アニメーションを反転後コピーしてからペーストすることで 左側の歩行動作を作成しています。

アニメーション表現のノウハウ

第五章では アニメーション表現のノウハウを学ぶことができます。

具体的には 歩行でもどのような姿勢を作って どのタイミングでキーを打つことで 躍動感のある動きになるか、を解説しています。

例えば、 リズムよく歩くためには、 どのような姿勢をどのようなタイミングでキーを打つことで 表現できるかが解説されています。

ジョグ

歩行だけではなく、 キックをするアニメーションの解説もあります。 脚がどのような軌跡をたどることで キレイなアニメーションになるかも解説しています。

キック

そして、 できたアニメーションを評価するための手法や 考え方を最後に解説しています。

例えば、3次元空間ではどのような動きになるかを 各姿勢を見返しながら どのようなカメラアングルで撮ればいいかを考える手順を説明しています。

プリビズ

第六章では、 じっさいに企画書を作り「プリビズ」と呼ばれる 簡単なストーリーを簡易的なアニメーションを作っていきます。

プリビズではアニメーションの 「コンセプト」や 「いつ」「どこで」「だれが」 「なにをする」のかを書いた企画書を作ります。

本の中では ビルの中を走りながら大きなヘリに追いかけられる ストーリーを作成する手順を丁寧に説明しています。

どのような動きを どのアングルからカメラで撮るのか、 などを細かく設定しながらアニメーションを作っていきます。

正直、アニメーション初心者の私は、 このプレビズ作成でかなりつまづきました。 手法がわかってもまだ知識がないため、 どのようなストーリーにすればいいのかが思いつかないわけです。

とりあえず、 簡単な障害物を走りながら飛び越えて、前転するアニメーションを作ってみました。 簡単なプレビズではありましたが、 どのようにすればストーリーを組み立てられるのかが体験できたので 初心者の私にとっては、とても有益な内容でした。

ジャンプで飛び越える画像

ジャンプからの着地画像

よかったところ、足りなかったところ

最後に少し、私の感想を書いていきます。

「MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーション」 では 基本的に「手付けのアニメーション」をメインに解説されています。 内容的には、MotionBuilderのヘルプにある チュートリアルに似た流れで学習できる本です。

ただ、ヘルプにあるチュートリアルと違うのは、 じっさいのアニメーションを作るうえで 3Dアニメーションの基礎知識やノウハウがふんだんに盛り込まれている点です。

これからアニメーターになりたい初心者を対象にしているため、 懇切丁寧に書かれています。 そのため、初心者であった私にもつまづくことなく最後まで 学習することができました。

少し足りないと思った点は、 モーションキャプチャーのことが書かれていないことです。

例えば、 昔から MotionBuilderはモーションキャプチャーデータの編集ソフト として扱われることが多いソフトでした。 これは本が出版された2012年でも変わりません。

そのため、MotionBuilderはモーションキャプチャーのための機能も多く実装されているので、 その部分のチュートリアルも少し欲しかったと 個人的に感じています。

最近では特に 個人向けのモーションキャプチャー も多く販売されてきて、 その編集ソフトとしてMotionBuilderを使うことも多くなってきました。

そういうこともあって、 モーションキャプチャーデータをキャラクターに流し込む部分の説明があると さらによかったと感じました。

また、VTuberが人気の時代に突入したこともあり、 3CGキャラクターがどのような仕組みで動いているのか についても興味がある人も増えてきました。

今後、 MotionBuilderを使って3Dキャラクターのアニメーションを 作成したい方も増えてくると感じています。

そのときに この本はとても役立つ内容だと感じていますので、 3Dアニメーションに興味がある方は ぜひ読むことをおすすめします。

「MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーション」は かなり古い本なので中古で販売していることも多いです。 定価では4500円ですが、 じっさい私も中古で購入してかなり安く手に入れられたので とても満足しています。

ただ、中古だとサンプルデータが入ったDVDが付いていないことがあるので、 本に沿ったチュートリアルができないこともあります。 そこがちょっと注意が必要です。

ちなみに私は、 DVDが付いていなかったので AdobeのMixamoというサイトでキャラクターを無償でダウンロードして、 そのキャラクターを使ってチュートリアルを進めてみました。

参考になれば幸いです。

MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーション

まとめ

「MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーションで基礎を勉強してみた」 についてのまとめです。

「MotionBuilderではじめる2.5Dアニメーション」では、 おもに 「アニメーションの基礎知識 「MotionBuilder操作の基本」 「アニメーションのストーリー作成のフロー」の3つが学べる。

IKFKといった基本機能を使いながら、 じっさいに歩行動作を作り主要な機能を学習できる。

プリビジュアライゼーションを作って、 じっさいのストーリー作成を学べる。

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