Inventorの推奨スペックとパソコンの選び方

Inventor向けパソコンのスペック目安と選び方

inventor

「Inventor用のパソコンはどんなスペックのパソコンが必要なのだろうか?」

ここでは、Inventor用にパソコンを検討している方に向けて Inventorが快適に動く「パソコンのスペックの目安」と 「パソコンを選ぶときのポイント」を解説しています。

私個人的にも仕事でInventorを使う機会が多いので、 ノウハウも含めて発信していきたいと思います。

この記事を書いた人

自分
さくら

  • 3DCADサポートエンジニア
  • サポート歴7年
  • Autodeskとダッソー製品のカスタマーサポートに従事

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目次

Inventorパソコンの推奨スペックは?

Inventor向きのパソコンを選ぶには、 まずAutodesk公式サイトに載っている Inventorの推奨スペックを確認しておきます。

Inventorの動作環境・Autodesk公式サイト

Autodesk公式サイトに載っている推奨スペックから 3DCADソフトで重要な「CPU、メモリ、グラフィックス」をピックアップして、 私の経験を考慮するとスペックはこんな感じになります。

500~1000個のパーツを使う場合

CPU Corei7、Xeon、Ryzen7の3.0GHz以上
メモリ 32GB
グラフィックス NVIDIA Quadro、Tシリーズ、AMD RadeonPro(4GB GPU)

1000個以上のパーツを使う場合

CPU Corei7、Xeon、Ryzen7の3.3GHz以上
メモリ 64GB
グラフィックス NVIDIA Quadro、Tシリーズ、AMD RadeonPro(4GB GPU)

Inventorで注目すべきスペックは、 CPU、メモリ、グラフィックスの3つです。

特にメモリに関しては、 モデリングで使うパーツの数が多くなればなるほど 多くのメモリが必要になります。

工業製品は機構を組み込まないといけないことが多いので、 どうしても部品数が多くなる傾向にあります。

それに合わせてメモリの容量も増やす必要があるわけです。

また、建築関係の方たちと連携をすることもあります。 そのときに建物の構造自体を読み込んで、 作ったモノとの干渉チェックをすることがあります。

建物の構造を読み込むのでパーツ数も多くなり、 メモリが不足することもあるわけですね。

具体的には建築関係のRevitとの連携があります。 建築関係ではRevitという3DCADソフトで設計と管理を行うことがあります。

建物の中にInventorで作ったモノを複数配置して干渉を見たり、 設計通りに収納できるかどうかなどを確認します。

InventorとRevitの相互で確認しながら同じ3Dモデルを読み込むので、 どうしてもパーツの数が多くなるわけですね。

そういうこともあって、 メモリは多めに載せておくのが推奨されています。

Inventorパソコンを選ぶときの3つのポイント

Inventor向きのパソコンを選ぶポイントとして、 この3つがあります。

  • CPUはクロック数が重要
  • グラフィックスは認定ハードウェアを選ぶ
  • ワークステーションを選ぶ

パソコン選びで失敗しないためにも、 この3つはぜひとも頭に入れておきたいポイントです。

CPUはクロック数が重要

InventorはCPUの性能が重要です。

コア数も4つ以上が必須ですが、 なによりも重要なのがクロック数です。

パソコン購入時のおすすめとしては 「選択できるクロック数で、できるだけ速いものを選ぶこと」です。

Corei7でも、パソコン購入時に2GHz~3GHzとクロック数を選ぶことが できる場合がほとんどです。 この選択で、予算を気にしすぎて低いクロック数を選んではいけません。

クロック数の速さでInventorの快適度は 体感できるほど変わってきます。

私自身も以前、ケチってしまって2GHz帯のCorei7を選んだときに とても後悔した経験があります。

同僚が同じ型のCorei7の3Ghz帯を購入していて、 それと比べたときに操作時の反応速度に差があったわけですね。 2GHzがけっして遅いわけではないけど、快適度合いが違ったのです。

ただ、クロック数を高速にすると価格が数万円跳ね上がります。 なので、買う時にためらってしまうのです。

しかし、パソコンは仕事道具なので妥協はしないで欲しいです。 個人的には、「予算の許す限りできるだけ速いクロック数のCPUを選ぶのが 失敗しないパソコン選びになる」と感じています。

グラフィックスは認定ハードウェアを選ぶ

Inventorで推奨されているグラフィックスとして、 Autodeskが動作保証している「認定ハードウェア」というものがあります。

つまり「このグラフィックスなら動作確認済みだよ!」 というグラフィックスがあります。

パソコンを購入してからInventorを動かして 「なんかちょっと3D描画に不具合がある…」なんてことがないように ぜひとも認定ハードウェアがついているパソコンを購入して欲しいわけです。

一般的に高性能パソコンといえばゲーミングPCが有名です。 しかし、ゲーミングPCはグラフィックスがGeForceやRadeonといった 一般消費者向けのゲームに特化したグラフィックスが付いています。

これは認定ハードウェアには入っていないのです。

推奨スペックは満たしているけど、 認定ハードウェアではないので、 何か不具合があったら自分でどうにかしてくださいね…ということになります。

ほとんどの場合、GeForceでもInventorは特に不具合なく動くでしょう。

しかし、万が一何かあったときに トラブルシュートに時間をかけたくないですよね。

そういうリスクを避けるという意味でも、 認定ハードウェアが付いているパソコンがおすすめなのです。

ワークステーションを選ぶ

Inventorが快適に動くパソコンは、「性能の高いCPU」と 「大容量メモリ」そして「専用グラフィックス」が必要になります。

これを満たすパソコンは、ワークステーションが適切です。

なぜワークステーションかというと、 ワークステーションには3DCADに向いているグラフィックスと 高性能CPUが付いているからです。

Corei7 3GHz以上でQuadro系のグラフィックスが付いているのは、 ほぼワークステーションだけと言っても過言ではありません。

また、メモリも大容量で選択できることも多いです。 16GB~128GBメモリが選択できるパソコンメーカーもあります。 メモリの選択肢が多いのもワークステーションの特長です。

そして、一般のパソコンと決定的に違うのが 「ワークステーションは保証が充実している」ということです。

例えばHPのワークステーションは、 三年間の保証がついています。 自然故障した場合は三年間無償でパーツ交換してくれるわけですね。

こういう理由から Inventorパソコンはワークステーションを推奨します。

Inventorおすすめパソコン

Inventorの推奨スペックを満たしていて、 さらに認定ハードウェアが選べるパソコンを おすすめパソコンとして別のページで紹介しています。

パソコンメーカー別に ローエンドからハイエンドまでのノートパソコンと デスクトップパソコンを提案しています。

Inventor用のパソコンをお探しの方は、 そちらもあわせて参考にしていただければ嬉しいです。

厳選!おすすめ3DCADパソコン12選

製品寿命を分析するならNASTRAN連携を考えたパソコン選び

ここからは、少し将来的な話になるかもしれませんが、 構造解析のシミュレーションをして製品寿命を分析する場合の パソコン選びについて触れていきたいと思います。

Inventorはシミュレーション機能もついていて、 製品寿命を分析できるようなソフトになっています。

例えば、 ある部品に一定の力を加えた時にどれくらいたわんで、 どんな形状になるのかというようなシミュレーションができます。

しかし、Inventor単体の機能では線形的な解析しかできないので、 Inventor NASTRANというオプションソフトを使って さらに高度なシミュレーションをすることが多いのです。

このInventor NASTRANを使う場合は、 NASTRANの推奨スペックも満たしている必要があります。

もし、将来的に設計から製品寿命までを分析、管理したいと考えている方は Inventor NASTRANの推奨スペックも考慮してパソコンを選んでください。

Inventor NASTRANの推奨スペックは、 Autodeskの公式サイトに載っています。

Inventor NASTRANの動作環境・Autodesk公式サイト

Inventorの推奨スペックと両方を考慮すると、 おすすめスペックはこんな感じでしょうか。

500~1000個のパーツを使う場合

CPU Corei7、Xeon、Ryzen7の3.0GHz以上
メモリ 32GB
グラフィックス NVIDIA Quadro、Tシリーズ、AMD RadeonPro(4GB GPU)
ディスク SSD 512GB以上

1000個以上のパーツを使う場合

CPU Corei7、Xeon、Ryzen7の3.3GHz以上
メモリ 64GB
グラフィックス NVIDIA Quadro、Tシリーズ、AMD RadeonPro(4GB GPU)
ディスク SSD 2TB

追加されているのは、SSDについてです。

シミュレーションは時系列のデータで出力されることが多いので、 計算結果のファイルも大きくなることがあります。

メッシュの要素数が多いと精度も良くなるので、 シミュレーションでは要素の密度を高くすることが多いのです。 ただその分、計算時間もかかりますし、データ量も大きくなるわけです。

なので、SSDの容量も多くしないと容量不足になることも考えられるのです。 CAEソフトによりますが、動画と同じようなファイルサイズになることが多いです。

Inventor NASTRANを使ってみようと考えている方は、 ぜひ、容量の多いSSDを検討することをおすすめします。

余談ですが、このInventor NASTRANは 「Product Design & Manufacturing Collection」という ライセンスにのみ含まれています。

Product Design & Manufacturing Collectionをお持ちの方は、 このへんの連携についても考えると 将来的に良い結果になるかもしれませんよ。

パソコン選びはRevitとの連携も考えるべき?

最後にRevitとの連携について話したいと思います。

Inventorでは、頻度は少ないですがRevitと連携することがあります。 建築関係の方と一緒に設計をする時に、 よくRevitとの連携が求められるのです。

「え?ということはInventorもRevitも両方動くパソコンがないとダメなの?」 と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

パソコンを選ぶときは、Revitと連携する場合でも、 Revitのことは考えずにInventorの動作スペックを満たせば問題ありません。

基本的にRevitとInventorの両方を同じパソコンで使う人は、 私の経験上、ほとんどいません。

建築側と製品側で作業分担していますので、 ファイルのやり取りで済んでしまいます。

ちなみに連携するとはどんな場面かというと、 建造物の中に工業製品を配置するときに連携をします。 Revitで作った建物のなかにInventorで作った製品を置くわけですね。

建物との干渉がないかとか、サイズは合っているかとかを Revitで管理と設計をしていくわけです。

作業する人が明確に分かれている場合が多いので、 パソコン選びではそこは気にしないで大丈夫というわけですね。

まとめ

「Inventorの推奨スペックとパソコンの選び方」 についてのまとめです。

Inventorの推奨スペックはパーツ数で異なる。

CPU、メモリ、グラフィックスはハイエンドのものが必要。

Inventorでの設定では、 特にパーツ数が多くなりがちなのでメモリは多く積んでおいた方がいい。

Inventorパソコンを選ぶときの3つのポイントは 「CPUはクロック数が重要」「グラフィックスは認定ハードウェアを選ぶ」 「ワークステーションを選ぶ」。

CPUクロック数は、選択できるなかで最も速い種類を選ぶ。

グラフィックスは動作保証をしている 認定ハードウェアを選ぶことで不具合リスクを減らせる。

高性能CPUと専用グラフィックスと大容量メモリは ワークステーションが得意なので、 ワークステーションを選ぶのがおすすめ。

NASTRANと連携をする場合は、 SSDの容量を多めにすることが重要。

Revitとの連携は、Inventorと同じパソコンで使うことはほぼない。

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